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Vol.2 No.4
Review-6

介護ケア施設(skilled−nursing facility)におけるメチシリン耐性・感受性黄色ブドウ球菌による感染と保菌状況のサーベイランス
Lee,Y.-L.,Cesario,T.,Gupta,G.,Flionis,L.,Tran,C.,Decker,M.,Thrupp,L.
Surveillance of colonization and infection with Staphylococcus aureus susceptible or resistant to methicillin in a community skilled nursing facility.
AJIC,25(4):312-321,1997.


メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)は、急性期ケア施設においても長期ケア施設においても、病院感染の重要な病原体である。ところが、これまでMRSAによる感染アウトブレイクを経験したことがない介護ケア施設(skilled-nursing facilities;SNFs)についての研究報告はほとんどなされていなかった。
そこで、アウトブレイクを経験したことがない149床の介護ケア施設(SNF)において、黄色ブドウ球菌(S.aureus)について、メチシリン感受性(MS)、耐性(MR)の両方の感染と保菌状態に関する1年間のサーベイランス研究を前向きのデザインで実施した。また同時にS.aureusのphenotypeも調べた。
施設入所時に鼻腔と便の細菌培養スクリーニング検査を実施した。
結果は、全例中35%が研究期間中1回以上S.aureusを保菌しており(72%がMS、25%がMR、3%がmixed phenotypes)、MRSAの95%がciprofloxacin耐性であった。鼻腔のS.aureus保菌はもっと頻回に見られたが、便培養のみが陽性であった入所者は13%であった。新規入所の21%と継続入所者の15%が施設入所期間中にS.aureus保菌者となっていた。
保菌は通過菌である場合もあるが、便培養での保菌と比較して鼻腔の保菌のほうが長く持続し、メチシリン感受性のままで安定する傾向にあった。9%の入所者がS.aureusに感染していた。MRSAの保菌状態の方がMSSAのそれよりも感染を引き起こしやすいということはなかった。
13例の感染例から得られた菌株を分析した結果、7例(54%)が同じphenotypeの菌株によるものであった。
この介護ケア施設(SNF)においては、ある程度のS.aureus保菌状態を反映して、低い頻度で散発的なS.aureus感染が起こっていた。しかし、保菌や感染の頻度が漸増する傾向にあるため、この介護ケア施設においては将来何らかの対策を講じる必要があることが示された。(訳:西岡みどり)


Carlisle Vol.2 No.4 p8-10 Winter 1997