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Vol.6 No.1
Review-5

HCVに感染した医療従事者から患者への感染のリスク
Ross, R. S., Viazov, S., Roggendorf M.
Risk of hepatitis C transmission from infected medical staff to patients.
Arch. Intern. Med., 160:2313-2316, 2000.


近年、患者だけでなく医療従事者の間でも、医療従事者から患者へのHCV感染の可能性に対する関心が高まってきている。現在の所、医療従事者から患者へのHCV感染についての報告は胸部外科や婦人科の手術時における外科医から患者への感染報告が数例あるだけである。そこで、侵襲的処置時における外科医から患者へのHCV感染の確率について1990〜1996年の間に報告された論文における4種の確率要因を基にModel-Based Calculationを用いて概算した。 
 その結果、外科医のHCV陽性が不明な場合、一回の手術での感染確率は0.00008%〜0.00074%であり、外科医がHCV-RNA陽性の場合には0.0062%〜0.057%の確率となる。さらに、その外科医が一年間に500回の手術をすると仮定した場合、平均の感染確率はそれぞれ0.09%(陽性が不明の場合)と6.8%(陽性の場合)になる。また、10年間ではそれぞれ0.9%(陽性が不明の場合)と50.3%(陽性の場合)に、仮に外科医が長期にわたりHCV-RNA陽性であれば30年間には88%(15,000回に1回)の確率で感染させる結果となった。 
 この確率(0.014%)は、医療従事者からのHBV感染の確率(0.24%)よりも低いが、HIV感染の確率(0.0024%)よりはかなり高いものである。また、一回の侵襲的手技における確率(0.014%)は、輸血によるHCV感染や麻酔による死亡率とほぼ同等であった。この結果は、医療従事者から患者へのHCV感染における法的または倫理的問題を議論する上で有用なものであり、さらには患者に対する医療従事者のHCV感染状況に関する情報開示や医療従事者のHCV抗体検査のルーチン化についても話題を提供するとともに、今後の血液媒介病原体感染の医療従事者管理に関する指針作成にも有益となるであろう。

(訳:仲川義人)


Carlisle Vol.6 No.1 p8-10 Spring 2001