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Vol.6 No.3
Review-3

 

総説:常温殺菌法におけるグルタールアルデヒドの毒性学的、医学的、環境衛生学的見解
Ballantyne, B. and Jordan, S. L.
Toxicological, medical and industrial hygiene aspects of glutaraldehyde with particular reference to its biocidal use in cold sterilization procedures.
J. Appl. Toxicol., 21:131-151, 2001.


グルタールアルデヒド(GA)はグラム陽性菌、陰性菌、芽胞、ウイルスに対し広い殺菌活性を有し、医療器具や内視鏡の殺菌に用いられている。GA常温殺菌法での毒性、衛生学的見解を総括した。 急性毒性試験(LD50)では、経口GA濃度5%以上で中等度、2%以下で軽度毒性(ラット、マウス)を、ウサギの皮膚へ24時間接触時、25%で軽度、15%以下では全身的毒性なし。皮膚刺激は接触時間や接触部位に依存する。4時間接触時の皮膚刺激閾値は1%で、それ以上の濃度で紅斑、浮腫が用量依存的に起きる(ウサギ)。0.1%では眼刺激はなく、結膜刺激閾値は0.2%、角膜損傷閾値は1%(ウサギ)。ヒトでの皮膚過敏反応の発生率は低く、閾値は0.5%。ヒトでは光毒性も光過敏症も呈さない。ラットおよびマウスで反復蒸気暴露時の鼻粘膜刺激閾値は0.1ppm。 
 ラットの2年以上経口投与試験では、雌で大顆粒細胞性リンパ球性白血病の増加がみられるが、用量依存的ではない。ラットに2年間蒸気を暴露すると、鼻腔前部に炎症性変化は起こるが、腫瘍や全身的毒性はみられない。遺伝子毒性学的研究は、in vitroとは異なり、in vivoでは一般的に作用はなく、マウス腹腔内試験でのみ骨髄細胞染色体異常がみられる。発達毒性試験では、GAはマウス、ラット、ウサギで催奇形性はなく、2世代試験でも有害な作用はみられない。ヒトへの過剰暴露で濃度依存的に皮膚、眼、呼吸器への刺激がみられるが、アレルギー性接触皮膚炎の発生率は低い。GA蒸気により喘息様反応が起きたとの報告がある。医療器具や内視鏡が適切に洗浄されなければ、局所粘膜作用が起きるかもしれない。GA暴露の有害反応防止には適切な保護(ゴーグル、手袋、エプロン、換気など)が必要であり、空気中GA濃度を定期的に検査し、推奨安全値以下に保つべきである(米国:0.05ppm(0.2mg/m3))。GA殺菌従事者はGAの性質、有害作用を認識し、安全な操作と事故時の扱い方を訓練し、従事者に影響が出た場合には直ちに原因を究明し、操作方法を修正すべきである。

(訳:豊口禎子)


Carlisle Vol.6 No.3 p8-10 Autumn 2001