|
Vol.6 No.3
Review-6
|
ポビドンヨードによる腟内処置と帝王切開術後の感染率 −無作為比較試験−
Reid, V. C., Hartmann, K. E., Mcmahon, M., et al.
Vaginal preparation with povidone iodine and postcesarean infectious morbidity
:A randomized controled trial.
Obstet. Gynecol., 97:147-152, 2001.
帝王切開術後の感染はしばしばみられる合併症である。米国では帝王切開術後の感染症の治療に年間約5億ドル以上を費やしている。分娩後に、骨盤・子宮・創などにみられる感染は多菌性であるが、腟内細菌が一般に多い。帝王切開術中・術後は、頸管が開大しているので子宮は腟と交通している。多くの場合、胎児の頭を支える医師の手は直接腟に接する。陣痛開始後の帝王切開では、医師の手袋から腟の細菌相が79%培養された。
そこで1996年5月から1998年9月までにNorth Carolina大学Women Hospitalで帝王切開の501名の妊婦を対象に、無作為比較試験を行い、帝王切開術前にポビドンヨードでの腟内処置は分娩後の感染率を減少するかについて検討した。
2群間における出産歴、教育、腟内診の回数、妊婦年齢、妊娠週数、年収、予防的抗生物質の投与などに差はなかった。 インターベンション群では、麻酔の後、無菌のスポンジスティックを用いてポビドンヨードサージカルスクラブ液に浸したガーゼスポンジで、腟内の入口から後部まで腟壁全体を3回処置した。コントロール群に対する偽の処置は行わなかった。その後のケアはすべて通常のルーチンで行なった。退院後、最低3ヵ月間の総合的なカルテレビューを実施し、発熱(術後1日目38度以上の熱)、子宮内膜炎(子宮・腹部の圧痛を伴う発熱があり広域抗生物質の点滴注射を実施)、および創離開(創部のケアが必要な帝王切開部の離開)を調査した。501名のうち、カルテの不備な3名と分娩前感染の絨毛羊膜炎68名を除き、217名の腟内処置群と213名のコントロール群とを比較した。
その結果、感染率は腟内処置群とコントロール群において各々発熱20.3%、18.3%、子宮内膜炎8.8%、5.6%、創離開5.5%、8.4%であった。インターベンション群の感染の相対危険率は、発熱1.1(95%CI 0.8,1.6)、子宮内膜炎1.6(95%CI 0.8,3.1)、創離開0.6(95%CI 0.3,1.3)で、帝王切開術前のポビドンヨードでの腟内処置は、分娩後の感染発生率の減少に対して効果はなかった。
(訳:中田栄子)
Carlisle Vol.6 No.3 p8-10 Autumn 2001
|