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Vol.8 No.1 |
アルコール水溶液による手指ラビング法と伝統的な手術時の手指スクラブ法を30日間観察した手術部位感染率の比較
手術部位感染(SSI)は、入院期間の延長、院内での罹患率の助長、過剰な医療費増を呈する。SSIの防止を目的に、手指消毒に着目し、術前の手指消毒について現行の勧告が妥当であるかを確かめるため、手指スクラブ法と手指ラビング法の比較を多施設クロスオーバー試験法で行った。 フランスの6つの外科病院を対象に、2000年1月1日から2001年5月1日の16ヵ月実施した。3病院はAAS(プロパノール1、プロパノール2、メセトロニウムエチルスルフェートを含む75%アルコール水溶液)によるラビング法、残る3病院は4%ポビドンヨード(PV)あるいは4%クロルヘキシジン(CH)を用いたスクラブ法を割り当てた。1ヵ月後にクロスオーバー法で交換した。ラビング法は手術前に1分間または手指が目に見えて汚れていればブラシを用い、消毒剤のない石けんで手洗いした後、非滅菌水と非滅菌タオルを使用した。5mLのAASは2分30秒間2回擦式した。スクラブ法は消毒剤で少なくとも5分間、滅菌スポンジかブラシを用い消毒した。 研究期間中に4,823人の患者が手術を受け、不潔および汚染手術を受けた385人と30日間のフォローアップで脱落した51人を除く4,387人を分析した。術後30日間の全体的SSI率は2.46(95%,Cl 1.81〜3.11%)、清潔および準清潔手術のSSI率は2.03%(95%,Cl 1.33〜2.73%)および3.4%(95%,Cl 2.07〜4.73%)であった。スクラブ法によるSSIは2,135人中53人(2.48%)、ラビング法によるSSIは2,252人中55人(2.44%)で大差はなかった。 コンプライアンスの評価では、スクラブ法(平均287秒)に比べラビング法(平均313秒)が有意に使用持続に優れていた(p=0.01)。手指衛生で勧告された5分間以上の消毒に関する実施率は2つの方法ともに不十分であったが、スクラブ法(28%)よりラビング法(44%)が有意であった(p=0.008)。 手術スタッフ77人に対し皮膚状態の評価を行ったが、皮膚乾燥や手荒れはラビング法で減少していた。コスト的にもAASはPVやCHに比べ、約1/8と経済的であるなど術前の手指消毒にラビング法への切り替えを奨励する。
Carlisle Vol.8 No.1 p8-11 Spring 2003 | |