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Vol.8 No.1
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抗生物質耐性菌は増加しているにもかかわらず、消毒剤は依然として手術創分離菌に感受性を有している 手術部位や遠隔部位にみられる術後感染症は、院内感染の原因となり、医療費を増加させている。手術技術の改善や抗生物質の予防投与、手術前後の局所消毒により、創感染を減少させることができたが、創感染の原因菌は、汎用抗生物質に対する耐性化が進んできている。 今回、抗生物質に対する耐性化と消毒剤の感受性変化との関連について調査を行った。1995年7月〜1997年6月を期間1、1997年7月〜1999年6月を期間2、1999年7月〜2001年6月を期間3とし、この間に手術を受けた患者の感染創から分離した黄色ブドウ球菌および緑膿菌に対するポビドンヨード(PVI)、過酸化一硫酸カリウム(K-POS)、塩化ジメチルジデシルアンモニウム(DDAC)のin vitroでの感受性を調べた。 PVI、K-POS、DDACは全てMSSA(n=91)、MRSA(n=109)、緑膿菌(n=179)に感受性を示し、期間1〜3において統計的な差は認められなかった。また、K-POSは通常5,000μg/mLおよび10,000μg/ mLで用いられるが、今回分離された菌に対し、1,000μg/mLで10分間、10,000μg/mLで2分間曝露させることにより100%殺菌することができた。PVIは10%液で用いられるが、K-POSやDDACよりも感受性が低く、菌を100%殺菌するのに1,000μg/ mLで30分間、10,000μg/mLで15分間を要した。また、DDACは黄色ブドウ球菌に対する感受性が最も高く、1,000μg/mLおよび10,000μg/ mLでは2分間の曝露により、100%殺菌できた。一方、緑膿菌に対する活性はK-POSと同程度であり、100%殺菌には1,000μg/mLで5分間、10,000μg/mLで2分間を要した。 一方、期間1〜3における汎用抗生物質に対する感受性調査では、黄色ブドウ球菌においては、ほとんど全ての抗生物質に対し耐性菌が増加しており、緑膿菌においてはピペラシリン、セフタジジム、イミペネム等に対する耐性菌の増加が認められた。 今回分離された菌は、通常より低濃度の消毒剤で殺菌することができた。また、分離菌は創感染の治療に用いられる種々の抗生物質に対し耐性化が進んでいるが、消毒剤に対する感受性においてはこの6年間で著しい変化は認められなかった。しかし、近年、特に黄色ブドウ球菌に対して、いくつかの消毒剤の耐性化が報告されているため、今後も定期的なモニターが必要であると考えられる。 (訳:松永典子、木津純子) Carlisle Vol.8 No.1 p8-11 Spring 2003 | |