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Vol.8 No.2
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腎移植患者の再発性リンパ嚢腫へのポビドンヨード洗浄により発症した腎毒性に基づく急性腎不全 リンパ嚢腫は腎移植後の外科的合併症として良く知られている。発生率は2〜41%とさまざまであるが、無症状や自然治癒の症例があるためと考えられる。腎移植患者におけるリンパ嚢腫は、移植片の血管圧迫、腸閉塞、感染症、同側性下肢浮腫、移植片の機能低下を伴う尿管閉塞といった重篤な合併症を引き起こす可能性がある。ある程度の大きさあるいは症状を呈するリンパ嚢腫は、針による吸引、カテーテルによる連続的吸引、腹腔鏡下内部ドレナージ、外科的穿孔、ポビドンヨードによる経皮カテーテル硬化などにより治療する。ポビドンヨード硬化療法は、腎移植後リンパ嚢腫の治療に安全かつ効果的であるとされ、従来重篤な合併症の報告はなされていなかった。 しかしながら、今回、再発性リンパ嚢腫をポビドンヨード洗浄により治療した腎移植患者において、ヨウ素中毒に次ぎ急性腎不全となった症例を経験した。患者は、28歳の白人女性、閉塞性尿路疾患に次ぐ最終ステージの腎不全であり、両側の腎摘出、腸および膀胱の拡張を施行後、2000年3月に死体腎移植を受けた。シクロスポリン、ステロイド、sirolimus投与により免疫抑制を行った。移植後、腎臓は直ちに機能し、合併症は尿路感染症(ノルフロキサシンを4週間経口投与)のみで、28日後に退院した。5週間後、新たな尿路感染症(スルバクタム・アンピシリンを2週間静脈内投与)で入院した。 さらに、移植6ヵ月後に新たな尿路感染症(シプロフロキサシンを投与)を起こし、初めてリンパ嚢腫と診断され、吸引による治療を行った。6週間後、新たな尿路感染症(メロペネムを4週間投与)を起こし、再びリンパ嚢腫が認められた。腹腔鏡下穿孔を行ったが治癒せず、6週間後リンパ嚢腫が拡大し、尿管および腎杯拡張、移植片機能低下を起こしたため、ポビドンヨード硬化を試みた。ポビドンヨード洗浄開始4日後に、代謝性アシドーシスを起こし、腎機能が低下し始めた。数日後、洗浄を中止したにもかかわらず、乏尿のため透析が必要となった。腎生検を行ったところ、極度の急性尿細管壊死が認められた。その後、リンパ嚢腫に対し外科的治療を行い、患者は回復した。 本症例より、腎移植後のリンパ嚢腫に対するポビドンヨード治療は、ヨウ素腎毒性および急性腎不全を引き起こす可能性があることが示唆された。 (訳:巨勢典子、木津純子) Carlisle Vol.8 No.2 p8-11 Summer 2003 | |