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Vol.11 No.3 |
ノロウイルスの代用物としてのネコカリシウイルスに対するエタノールおよびイソプロパノールの効果の比較 感染患者の糞便や嘔吐物により汚染した環境表面の不適切な消毒は、ごく近くの施設環境におけるノロウイルスの拡散の主要な原因であると信じられている。ノロウイルスの拡散防止対策として、数種類の消毒剤が利用されているにもかかわらず、依然として安全で効果的な消毒剤の検索が続いている。アルコールおよびアルコール配合剤は、感染予防対策用消毒剤として使用され、エンベロープを有するウイルスに対する有効性が報告されてきた。 今回、キャリア試験に使用するネコカリシウイルスをノロウイルスの代用物として使用した。ネコカリシウイルスを無生物上で乾燥させ、非極性表面において、接触時間1分、3分および10分間の条件下で、種々の濃度のエタノールおよびイソプロパノールの抗ウイルス効果を評価した。アルコール処理後、ウイルスを抽出し、そして、ネコの腎臓細胞で抗体価を測定した。ウイルスの不活化率を、対照群より抽出されるウイルスから得られる抗体価を比較しながら計算した。その結果、70%および90%エタノール並びに40%および60%イソプロパノールは最も効果的であり、1分以内と短時間で、添加したネコカリシウイルスの99%(2Log)を殺菌した。これらの結果は、低濃度のエタノールではウイルスの不活化がほとんど認められないとする初期の研究結果と一致するが、高濃度では効果的であった。けれども、ネコカリシウイルスを含めた多数のウイルスに対して高濃度エタノールが効果的でないとする若干の報告が認められる。また、長時間の接触はネコカリシウイルスの不活化を改善しなかった。 イソプロパノールにおける我々の結果はまた、50%および70%イソプロパノールがネコカリシウイルスに対してより効果的であるとするGehrkeらのサスペンジョン試験結果と一致している。けれども、他のエンベロープを持たないウイルスであるエンテロウイルスに対して50%および70%イソプロパノールが効果を示さないとするMoldenhauerおよびTaylorらの結果と異なった。我々の研究では、エタノールとイソプロパノールは見込みがある消毒剤であるが、ネコカリシウイルスを99.9%(3Log)殺菌することは出来なかった。 今後更なる検討が必要ではあるが、結論として、イソプロパノールは40%および60%濃度での使用、またエタノールは70%および90%での使用で、環境接触表面からのノロウイルスの伝播を制御するのに役立つことが示唆される。 (訳:坂上吉一)
Carlisle Vol.11 No.3 p8-10 Autumn 2006 | |