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Vol.12 No.3
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開腹結腸直腸切除吻合術の術前処置におけるポビドンヨード浣腸と次亜塩素酸ナトリウム浣腸の比較 手術前に、センナやポリエチレングリコール、リン酸ナトリウム等の緩下剤を用いて腸管内を清浄化するが、このような前処置では術後の感染性合併症の発現率は減らないことが最近のメタ分析で示された。これは緩下剤の内服では、腸管内や結腸直腸粘膜における細菌濃度を減らすことができないためと考えられる。一方、ポビドンヨード(PVI)のような消毒液の浣腸は抗菌作用があり、臨床的にも術後感染症を合併する患者数を減らすという報告がある。また、次亜塩素酸ナトリウムの浣腸も有効であり、結腸直腸の術前処置として提案されている。直腸の細菌叢に対しては、PVIより次亜塩素酸ナトリウムの方が優れているとする細菌学的研究もあるが、両者の有効性を比較したランダム化比較試験はない。 そこで本研究では、PVI浣腸と次亜塩素酸ナトリウム浣腸の抗菌作用には差がある、という仮定の下で、開腹式結腸直腸切除吻合術の術前処置に、PVI浣腸または次亜塩素酸ナトリウム浣腸を施行した場合の、腹壁の感染性合併症発現率と認容性を比較するため、多施設ランダム化単盲検比較試験を行った。対象患者は結腸直腸がんまたはS状結腸憩室で開腹式結腸直腸切除吻合術を受ける517名とした。術前日18時、全患者にセンナ液を服用させたのち、患者を5%PVI群と0.3%次亜塩素酸ナトリウム群に割付け、同日21時と手術3時間前に各浣腸を施行した。麻酔導入時には全てにセフトリアキソンナトリウム1gとメトロニダゾール1gを静脈内投与した。 結果として、腹壁に感染症を合併した患者の割合は2群間に差は認められなかった(PVI群13.7%、次亜塩素酸ナトリウム群15.0%)。認容性においては、倦怠感を経験した患者はPVI群(8.7%)に多かったものの(次亜塩素酸ナトリウム群3.8%)(p<0.02)、腹痛はPVI群(13.0%)が次亜塩素酸ナトリウム群(24.6%)に比べ有意に少なく(p=0.04)、全体としてPVI群の方が優れていた(p<0.01)。また術前処置を中断した患者の割合もPVI群(5.1%)は次亜塩素酸ナトリウム群(10.8%)より有意に少なかった(p<0.01)。 さらに、次亜塩素酸ナトリウム群では3名が壊死性潰瘍性大腸炎を起こしていた。 以上より、術前処置の消毒には、認容性と潰瘍性大腸炎の予防の観点から、次亜塩素酸ナトリウム浣腸よりPVI浣腸の方が適切であろう。 (訳:寺島朝子,木津純子) Carlisle Vol.12 No.3 p8-10 Autumn 2007 | |