Outline

Outline INDEXCARLISLE INDEXHOME


Vol.16 No.1

インフルエンザの予防と治療

高橋 孝

(北里大学大学院感染制御科学府 感染症学研究室)


インフルエンザの基礎知識

1.インフルエンザウイルスとは
  マイナス極性の1本鎖RNAであるインフルエンザウイルス(IV)はオルソミクソ科に属し、内部に有する核蛋白(NP)とマトリックス蛋白(M1)の抗原性の相違に基づいて、A型・B型・C型に分類される。IVのA型では、表面に突出している糖蛋白である赤血球凝集素ヘマグルチニン(HA)とノイラミニダーゼ(NA)の抗原性の違いから、HAは16種、NAは9種まであり、A型には16×9=144種の亜型が存在する。B型、C型には亜型はない。現在までにH1(スペイン風邪、ロシア風邪、2009年新型)、H2(アジア風邪)、H3(香港風邪)の流行を経験しており、最近の流行の多くはH1、H3とB型である。ウイルス外殻にあるHAは、ウイルスが宿主細胞へ吸着・侵入する際に、NAはウイルスが宿主細胞から放出される際に機能する。異なる膜貫通型タンパクであるM2蛋白は、イオンチャネル活性を有する。ウイルス粒子内には、分節化したRNAとNP・RNAポリメラーゼが存在し、RNAの分節数はA型・B型で8、C型は7である。
  カモ、アヒル等の水鳥(水禽)を宿主とするウイルスを鳥IVと呼ぶ。国際獣疫事務局は、鳥IVの分子構造や実験動物での致死性に関する基準を設け、それを満たすものを鳥IVとしている。本邦では、ニワトリ等の家禽(飼育している鳥)に感染を起こし、病原性が高いために、家禽の間で重大な被害を生じる可能性が高いH5亜型とH7亜型のウイルスを鳥IVと呼んでいる。東南アジア、中国を中心に、この鳥IVがヒトに対して病原性を示した事例や、家族内での感染例が報告されている。


※この記事に関しては抜粋のみ掲載しております。全文をご覧になりたい方はこちらよりご請求ください。

Carlisle Vol.16 No.1 p1-3 Spring 2011