第2回 病院感染と消毒のセミナー開催にあたって
小林 寛伊 (東京医療保健大学 学長)
[基調講演] 病院感染対策に関する総論―最近の動向を中心に―
大久保 憲(東京医療保健大学 医療情報学科感染制御学 教授)
ガイドラインを参考に新しい考え方を学ぶ
感染制御にかかわる領域は目まぐるしく変化している。新しい考え方をいち早く見極めるためには、ガイドラインを参考にするのが一番よい方法である。
ガイドラインは、多くの質の高いRCT(ランダム化比較試験)によるエビデンスに支えられており、その時点での一番新しい考え方である。一方、マニュアルはガイドラインを参考に作成された手順書という位置付けである。
今回は各種のガイドラインを中心に、最近の新しい考え方について紹介していきたい。
- [特別講演]
病院感染対策の経済効果―病院機能評価の視点も含めて―
今中 雄一(京都大学 大学院医学研究科 医療経済学 教授)
感染制御の経済性
現在、感染制御も含めた医療の安全対策について、病院内で取り組むべき事項が増えている。委員会設置、人員配置、会議設営などハード面で費用が必要なこともある。しかしそのような努力に対して、特別に診療報酬が得られるわけではない。一方、どれだけの費用を要しているのかという情報も、明確なデータはないのが現状である。
医療の安全性や質を向上させ、それを維持・継続するための資源に関する原価を品質原価(quality cost)と呼んでいる。そしてそれを整理する際には、失敗原価と予防原価を考える。
- [教育講演I]
ICNの現状と将来について
坂本 史衣(聖路加国際病院 医療安全管理室 ICP)
感染管理担当者の視点
ICN(感染管理看護師)を含めたICP(感染管理担当者)の仕事とは、「さまざまな部門、職種とかかわり、協力を得ながら、医療関連感染が起こりにくい方向に病院の体制や人の行動を変える仕事」だといえる。
ICP(N)の視点は、患者あるいは職員などの「集団」であることが多い。集団の中で医療関連感染のリスクや発生状況を評価して具体策を立てるのである。具体策は臨床現場の方が実践されるが、その結果を評価して改善を積み重ねることがICPの主要な役割である。つまり集団の状況を良好にすることにICPのエネルギーの多くが費やされる。
[教育講演II] 消毒薬の有効な活用について 尾家 重治(山口大学医学部附属病院薬剤部 助教授)
・経腸栄養剤投与バッグが感染源になった事例
・環境消毒の事例
・消毒薬が有効でない事例
・高水準消毒薬―使い方のポイント
- [パネルディスカッション]
司会進行:小林 寛伊 先生
- パネラー:大久保 憲 先生
今中 雄一 先生 坂本 史衣 先生 尾家 重治 先生
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病院環境に用いる消毒薬
山田 奈津子 (吉田製薬株式会社 学術部部長)
病院の環境表面の行き届いた清掃が病院感染制御のうえで重要であることは、広く合意を得た事実である。塵埃には多くの微生物やダニなどの小さな節足動物が存在し、これらを減少させることが必要である。
一方、床などの病院環境表面の日常的清掃において、洗浄剤の代わりに消毒薬を使用しても病院感染率は低下しないという臨床的根拠が示されている。しかし環境表面を介した接触伝播が特に問題となるような場合は、ある程度の頻度で環境に消毒薬を適用することも合理的な感染対策であると思われる。
環境に消毒薬の適用が推奨される場合を、日本と米国の公的なガイドラインを参考に紹介させていただく。
※この記事に関しては抜粋のみ掲載しております。全文をご覧になりたい方はこちらよりご請求ください。
Carlisle Vol.11 Suppl.11 Appendix 2006
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