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III 消毒対象物による消毒薬の選択

III 章 参考文献

1.生体

2)医療従事者

(1)手洗い概説 34、35)


病院感染対策における最も基本的な要件として、医療従事者による手洗いの励行がある。医療従事者の手指は病原性微生物の伝播媒体となるため、正しい手洗いをマスターし、目的にあったレベルの手洗いが常にできるようにしておかなければならない。1997年英国の暫定ガイドラインは「ほとんどの場合において石けんによる手洗いこそが、交差感染を防ぎ、患者と従事者を感染から防御するために必要なすべてである」と述べている8、9)

手指に存在する微生物は皮膚常在菌(定住フローラ、resident skin flora)と皮膚通過菌(一過性フローラ、transient skin flora)に分けることができる(表12)。常在菌は、皮脂腺、皮膚のひだなどの深部に常在しており、表皮ブドウ球菌などのCNS(コアグラーゼ陰性ブドウ球菌、coagulase-negative staphylococci)が含まれ、消毒薬による手洗いによっても除去しきれない。通過菌は皮膚表面、爪などに周囲の環境より付着したもので、大腸菌等のグラム陰性菌や黄色ブドウ球菌等のグラム陽性菌などさまざまな微生物が含まれるが、抗菌成分を含まない石けんと流水でほとんど除去することができる。

表12 手指に存在する微生物

皮膚常在菌

表皮ブドウ球菌などのCNS

消毒薬でも除去しきれない

皮膚通過菌

大腸菌等のグラム陰性菌
黄色ブドウ球菌等のグラム陽性菌などさまざま

石けんと流水でほとんど除去


病院における手洗いには日常的手洗い(social handwashing)、衛生的手洗い(hygienic handwashing)、手術時手洗い(surgical handwashing)の3種類がある(表13)。

表13 手洗いの種類

日常的手洗い

配膳、トイレなど日常的行為の前後の手洗い

衛生的手洗い

注射、ガーゼ交換など医療行為の前後の手洗い

手術時手洗い

手術に際しての手洗い


このうち日常的手洗いは、日常生活における手洗いと同様に、配膳の前やトイレの後などに行う簡易な手洗いである。流水のみの場合、石けんを用いる場合があるが、抗菌成分を含む石けんが用いられることもある。この手洗いによっても通過菌の一部を除去できるが、この手洗いの本質はあくまでも物理的な汚れの除去にすぎず、患者の処置前後などには、より念入りな衛生的手洗いを行う必要がある。


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