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抗微生物スペクトル早見表適用部位早見表消毒薬使用濃度一覧

>>> III章参考文献


III 消毒対象物による消毒薬の選択
2.器具および環境

1)器具

(3)ノンクリティカル器具26,32,45,46,67,68)

ノンクリティカル器具とは、健常な皮膚と接触するが粘膜や健常でない皮膚に接触しない器具であり、感染伝播には通常関与しない。したがって高度な汚染を受けないかぎり日常的な洗浄・清拭のみで十分であり、特に消毒の対象とはならない。ただし、MRSAやVREなど、ノンクリティカル器具を経由して、またはノンクリティカル器具に接触する医療従事者の手指を経由して接触伝播する微生物が問題となる場合には 、低水準消毒を行う。なお、ノンクリティカル器具が血液などで汚染された場合には、よく洗浄した後、1,000ppm(0.1%)次亜塩素酸ナトリウム、場合によりアルコールで消毒する。

ノンクリティカル器具として具体的には、聴診器、血圧計のマンシェット、松葉杖、ベッドパン、水枕などがあげられる。本テキストでは、リネン、食器、浴槽、洗面台などを物品に分類し、またベッド枠、ベッドテーブル、ドアノブ、医療機器表面などをベッド周辺として環境に分類し、消毒法について後述する。

ノンクリティカル器具の洗浄・清拭は定期的に行うべきである。また上述のように血液などで汚染された場合に汚染の除去と消毒が必要なこと、および接触予防策においてノンクリティカル器具を共用する場合に患者毎に消毒が必要なことは広く合意されている45,46,65)。しかし、その他の場合について、どのような場合にどのような頻度で消毒が必要であるのかについては様々な議論がある68)

ノンクリティカル表面を消毒する場合には、通常下記のような消毒薬で清拭または30分浸漬して消毒する。ただし、耐熱性・耐水性の器具の場合には、熱水消毒を選択することが望ましい。

熱水(80℃10分)
0.1〜0.2%塩化ベンザルコニウム液
0.1〜0.2%塩化ベンゼトニウム液
0.1〜0.2%塩酸アルキルジアミノエチルグリシン液
アルコール系消毒薬(消毒用エタノール、
 70%イソプロパノール、イソプロパノール添加エタノール液)
200〜1,000ppm(0.02〜0.1%)次亜塩素酸ナトリウム液

上記の方法はMRSA、VREなどを含む一般細菌、酵母菌に有効であり日常的な消毒法として十分であるが、その他特定の微生物を対象として消毒する必要がある場合には表26の方法を選択する。

表26 特定の微生物を対象とするノンクリティカル表面の消毒法
対象微生物 消毒薬と濃度
インフルエンザウイルスなど
エンベロープのあるウイルス

低水準消毒薬に抵抗性を示すグラム陰性菌(湿潤した表面)
熱水(80℃10分)
アルコール
200-1,000ppm次亜塩素酸ナトリウム液 注1)
HBVなど血中ウイルス
(エンベロープあり)
熱水(98℃6分、多くの場合は80℃での10分洗浄でも可)
1,000ppm次亜塩素酸ナトリウム液(血液自体の消毒は5,000-10,000ppm)
アルコール
糸状菌 熱水(80℃10分)
500-1,000ppm次亜塩素酸ナトリウム液
アルコール
結核菌 熱水(80℃10分)
アルコール
0.5-1%クレゾール石ケン液 注2)
0.2-0.5%塩酸アルキルジアミノエチルグリシン液
1,000ppm以上の次亜塩素酸ナトリウム液(低濃度では無効)
ポリオウイルスなど
エンベロープのないウイルス
熱水(98℃15〜20分、多くの場合は80℃での10分洗浄でも可)
500-1,000ppm(特別な場合には5,000ppm)次亜塩素酸ナトリウム液
場合によりアルコール
芽胞 徹底的な洗浄・清拭
特別な場合には5,000ppm次亜塩素酸ナトリウム液
注1)次亜塩素酸ナトリウムをノンクリティカル器具・物品・環境の清拭に用いる場合には、原則としてごく小範囲に使用し広範囲には使用しない。

注2)クレゾール石ケン液は水質汚濁防止法、下水道法によりフェノール類として5ppmの排水中濃度規制があることに注意して用いる。0.5-1%という濃度はクレゾールとしての濃度。

(文献68より転載)



[1] 聴診器など

聴診器は患者の皮膚や医療従事者の手指が頻繁に接触する器具であり、微生物の接触伝播が問題となる場合には、患者間の共用を避け、または患者間にまたがって使用する際にその先端部をアルコール系消毒薬で清拭して消毒する69)。血圧計のマンシェット、松葉杖なども同様に扱い、適宜アルコール系消毒薬で清拭して消毒する。アルコールが使用できない器具の場合には、0.2%塩化ベンザルコニウム液、0.2%塩化ベンゼトニウム液、0.2%塩酸アルキルジアミノエチルグリシン液、または500ppm(0.05%)次亜塩素酸ナトリウム液で清拭して消毒する。


[2] ベッドパンなど

ベッドパンなど排泄物による汚染があるノンクリティカル器具は、フラッシャーディスインフェクター(ベッドパンウォッシャー)により、90℃1分間の蒸気による熱水消毒を行う。熱水消毒が行えない場合には、洗浄後に0.1%塩化ベンザルコニウム液、0.1%塩化ベンゼトニウム液、0.1%塩酸アルキルジアミノエチルグリシン液、または500ppm(0.05%)次亜塩素酸ナトリウム液に30分間浸漬する。下血、血便時などウイルスが問題となる場合には1,000ppm(0.1%)次亜塩素酸ナトリウム液に30分間浸漬、または2%グルタラールに30分〜1時間浸漬する。


[3] 水枕

水枕は布などにくるんで使用する場合がほとんどであり、清拭により汚れを落とし清潔に保管することで通常は十分である。


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