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IV 対象微生物による消毒薬の選択

IV 章 参考文献

8.感染症法の類別における微生物

1)感染症法概説 189〜195)

(2011.04.19追記)
*2011年1月14日に感染症法の一部改正が公布され、2月1日に施行されました。詳しくはこちらを参照ください。


感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律(感染症新法)が1999年4月1日より施行され、それまでの伝染病予防法、性病予防法、後天性免疫不全症候群の予防に関する法律が廃止された。これにより、感染症予防法と結核予防法の2つの法律に基づいて、市井感染を含む感染症に対する国家的な措置が講じられるようになった。また、重症急性呼吸器感染症(SARS)などの発生を踏まえて、2003年11月5日感染症新法の改正が行われ、感染症法として施行された。2006年12月8日に公布された改正感染症により結核予防法が廃止され、結核は感染症法の二類感染症に位置付けて総合的な対策が実施されることとなった。改正感染症法では届出疾患が追加され、また生物テロや事故による感染症の発生・まん延を防止するため、病原体等の管理体制を確立する目的で新規に「特定病原体等」に関する項目が制定された。さらに2008年5月2日に公布された改正感染症法により2006年6月より指定感染症に指定されていた鳥インフルエンザ(H5N1)が2類感染症に変更になり、新しい類型として「新型インフルエンザ等感染症」が制定された。この新型インフルエンザ等感染症には「新型インフルエンザ」及び「再興型インフルエンザ」が指定されている。

感染症法は、感染症の感染力や罹患した場合の重篤性等に基づいて、一類感染症から五類感染症の感染症を分類指定し、さらに指定感染症と新感染症の分類を設けている。指定感染症は既知の感染症において、法の規定の全部あるいは一部を準用しなければ、国民の生命および健康に重大な影響を与える恐れがあるものとして政令で定めるものであり、指定期間は1年以内である。新感染症は既知の感染性の疾病とその病状または治療の結果が明らかに異なるもので、罹患した場合の危険性が高い感染症である。

これら感染症に対しては対応措置がそれぞれ規定されている(表5555別表)。また、一類から五類感染症の患者を診断した医師等は都道府県知事へ届けるよう規定されている(表56)。なお政令で定める動物については獣医師にも一定の届出義務がある。消毒に関しては、感染症法施行規則第十四条が次のように規定している。


一 

対象となる場所の状況、感染症の病原体の性質その他の事情を勘案し、十分な消毒が行えるような方法により行うこと。

二 

消毒を行う者の安全並びに対象となる場所の周囲の地域の住民の健康及び環境への影響に留意すること。


具体的な消毒方法に関しては、厚生科学研究費補助金新興・再興感染症研究事業による「消毒と滅菌のガイドライン」193)が発行されている。

表55 感染症の分類・性格・対応・措置(青字は2006、2008年改正による)


感染症名等

性格

主な対応・措置





エボラ出血熱
マールブルグ病
クリミア・コンゴ出血熱
ラッサ熱
南米出血熱
ペスト
痘そう

感染力、罹患した場合の重篤性等に基づく総合的な観点からみた危険性が極めて高い感染症

原則入院
消毒等の対物措置
(例外的に、建物への措置、通行制限等の措置も適応対象とする)





急性灰白髄炎
ジフテリア
重症急性呼吸器症候群(病原体がコロナウイルス属SARSコロナウイルスであるものに限る)
結核
鳥インフルエンザ(病原体がインフルエンザウイルスA属インフルエンザAウイルスであってその血清亜型がH5N1であるものに限る)

感染力、罹患した場合の重篤性等に基づく総合的な観点からみた危険性が高い感染症

状況に応じて入院
消毒等の対物措置





腸管出血性大腸菌感染症
コレラ
細菌性赤痢
腸チフス
パラチフス

感染力、罹患した場合の重篤性等に基づく総合的な観点からみた危険性は高くないが、特定の職業への就業によって感染症の集団発生を起こしうる感染症

特定職種への就業制限
消毒等の対物措置





腎症候性出血熱、ハンタウイルス肺感染症、黄熱、デング熱、日本脳炎、ウエストナイル熱(ウエストナイル脳炎を含む)、狂犬病、リッサウイルス感染症、ニパウイルス感染症、Bウイルス病、サル痘、A型肝炎、E型肝炎、鳥インフルエンザ(H5N1は除く)、オムスク出血熱、キャサヌル森林病、西部ウマ脳炎、ダニ媒介脳炎、東部ウマ脳炎、鼻疽、ベネズエラウマ脳炎、ヘンドラウイルス感染症、リフトバレー熱、オウム病、つつが虫病、日本紅斑熱、発しんチフス、ロッキー山紅斑熱、Q熱、レジオネラ症、ブルセラ症、野兎病、類鼻疽、炭疽、ボツリヌス症、コクシジオイデス症、回帰熱、ライム病、レプトスピラ症、マラリア、エキノコックス症

媒介動物の輸入規制、消毒、ねずみ等の駆除等の措置が必要となりうる動物由来感染症

媒介動物の輸入規制
消毒、ねずみ等の駆除等の措置





別表

国が感染症発生動向調査を行い、その結果等に基づいて必要な情報を一般国民や医療関係者に提供・公開していくことによって、発生・拡大を予防すべき感染症

感染症発生状況の収集、分析とその結果公開、提供













新型インフルエンザ

新たに人から人に伝染する能力を有することとなったウイルスを病原体とするインフルエンザであって、一般に国民が免疫を獲得していないことから、当該感染症の全国的かつ急速なまん延により国民の生命及び健康に重大な影響を与えるおそれがあると認められるもの。

消毒

再興型インフルエンザ

かつて世界的規模で流行したインフルエンザであってその後流行することなく長期間が経過しているものとして厚生労働大臣が定めるものが再興したものであって、一般に現在の国民の大部分が免疫を獲得していないことから、当該感染症の全国的かつ急速なまん延により国民の生命及び健康に重大な影響を与えるおそれがあると認められるもの。





政令で1年間以内の期間、指定される感染症

既知の感染症において、国民の生命および健康に重大な影響を与える恐れがあるものとして政令で定めるもの

厚生労働大臣が公衆衛生審議会の意見を聞いたうえで、必要な入院や消毒等の対物措置等を政令で規定




[当初]都道府県知事が厚生労働大臣の技術的指導・助言を得て個別に応急対応する感染症

人から人に伝染すると認められる疾病であって、既知の感染症と症状の明らかに異なり、その伝染力および罹患した場合の重篤度から判断した危険性がきわめて高い感染症

厚生労働大臣が原則として公衆衛生審議会の意見を聞いたうえで、または緊急に、都道府県知事の事務に関し必要な指示をすることができる

[要件指定後]政令で症状等の要件指定をした後に一類感染症同様の扱いをする感染症

一類感染症に準じた対応を行う


表55 別表

五類感染症(全数把握)

五類感染症(定点把握)

アメーバ赤痢、ウイルス性肝炎(E型肝炎及びA型肝炎を除く)、急性脳炎(ウエストナイル脳炎、西部ウマ脳炎、ダニ媒介脳炎、東部ウマ脳炎、日本脳炎、ベネズエラウマ脳炎及びリフトバレー熱を除く)、クリプトスポリジウム症、クロイツフェルト・ヤコブ病、劇症型溶血性レンサ球菌感染症、後天性免疫不全症候群、ジアルジア症、髄膜炎菌性髄膜炎、先天性風しん症候群、梅毒、破傷風、バンコマイシン耐性黄色ブドウ球菌感染症、バンコマイシン耐性腸球菌感染症、麻しん、風しん

RSウイルス感染症、咽頭結膜熱、インフルエンザ(鳥インフルエンザ及び新型インフルエンザ等感染症を除く)、A群溶血性レンサ球菌咽頭炎、感染性胃腸炎、急性出血性結膜炎、クラミジア肺炎(オウム病を除く)、細菌性髄膜炎、水痘、性器クラミジア感染症、性器ヘルペスウイルス感染症、尖圭コンジローマ、手足口病、伝染性紅斑、突発性発しん、百日咳、ペニシリン耐性肺炎球菌感染症、ヘルパンギーナ、マイコプラズマ肺炎、無菌性髄膜炎、メチシリン耐性黄色ブドウ球菌感染症、薬剤耐性緑膿菌感染症、流行性角結膜炎、流行性耳下腺炎、淋菌感染症


表56 医師の届出

感染症類型

届出義務

届出期限

一類〜四類感染症

全ての医師

直ちに

五類感染症(全数把握)

全ての医師

7日以内#

五類感染症(定点把握)

指定届出機関の管理者

翌週の月曜日あるいは翌月の初日※

#麻しんについては24時間を目処に報告
※性器クラミジア感染症、性器ヘルペスウイルス感染症、尖圭コンジローマ、淋菌感染症、ペニシリン耐性肺炎球菌感染症、メチシリン耐性黄色ブドウ球菌感染症、薬剤耐性緑膿菌感染症については翌月の初日


以下、感染症法の類別における微生物について、感染症毎に、病原体の種類、病院感染対策の種類、消毒法、伝播予防策の観点から見た概要を述べる153、165、166、189〜198)※

※消毒法についてはそれぞれ関連する前節を参照。
一般細菌を対象とする方法→ IV-2-1) グラム陽性菌
親水性のグラム陰性菌を対象とする方法→ IV-2-2) グラム陰性菌
糸状菌を対象とする方法→ IV-3-2) 糸状菌
血中ウイルスを対象とする方法→ IV-5-1) 血中ウイルス
エンベロープを有するウイルスを対象とする方法→ IV-5-2) その他のウイルス
エンベロープを有しないウイルスを対象とする方法→ IV-5-2) その他のウイルス
芽胞と対象とする方法→ IV-6) 芽胞


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