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抗微生物スペクトル早見表適用部位早見表消毒薬使用濃度一覧

>>> IV章参考文献


IV 対象微生物による消毒薬の選択
8.感染症法の類別における微生物

(2006.12.13追記)
*2006年12月8日、改正感染症法が公布されました。詳しくはこちらを参照ください。


5)四類・五類感染症

(10)原虫253)

原虫は原生動物で単細胞からなり、胞子虫類、根足虫類、鞭毛虫類などがある。消毒薬は原虫の殺滅のために開発されたものではないため、特に効果が確認されていない限り、無効と見なされる。原虫で汚染された器具は熱水洗浄により清浄化することを基本とし、原虫を念頭においた手洗いは流水と石けんによる物理的な除去を基本とする。


[1]アメーバ赤痢(五類、全数把握)

◆病原体
Entamoeba histolytica−根足虫類
◆病院感染対策
標準予防策
◆消毒法
下記の方法

Entamoeba histolyticaは、粘血便を伴うアメーバ赤痢、下痢・腹痛を伴うアメーバ性大腸炎、アメーバ性肝膿瘍などのアメーバ症の原因である。世界に分布し、特に熱帯・亜熱帯の非衛生な地域に多くみられるが、日本においても集団 感染がある。赤痢アメーバはそのシスト(嚢子)を経口摂取することによりヒトに伝播し、小腸で栄養型となり、腸管や肝臓で2分裂して増殖する。大腸においてシストを形成し、糞便と共に排出される。シストは外界での抵抗力が強く数週間感染性を保つため、糞便による飲料水汚染や有機農法による野菜汚染などによりヒトに伝播する。感染症例には標準予防策を行うが、患者の糞便で汚染された可能性のある箇所に注意が必要である。

消毒は熱水洗浄を基本とするが、Entamoeba histolyticaについてはポビドンヨード、次亜塩素酸ナトリウム、クレゾール石ケン液が有効といわれている254)


[2]クリプトスポリジウム症(五類、全数把握)

◆病原体
Cryptosporidium parvum−胞子虫類
◆病院感染対策
標準予防策、失禁のある場合などには接触予防策を追加
◆消毒法
下記の方法

Cryptosporidium parvumは、広く水系に存在し、近年日本においても飲料水を介した集団感染が報告されている。症状は激しい下痢と腹痛である。Cryptosporidium parvumはヒト、ウシ、ブタ、ネコなどに寄生し、小腸粘膜上皮の微絨毛で発育する。無性生殖と有性生殖を行うが、複数のスポロゾイドを含む 有性生殖で形成されたオーシストは糞便中に排泄される。糞便により汚染された湖、川、プール、食品、手指などを介してヒトへ経口伝播する。オーシストは通常の水道水塩素消毒や濾過によって完全には殺滅・除去できないため、水道水を介するヒトの集団感染が発生する。 ヒトからヒトへの病院感染も報告されている255)。感染症例には標準予防策を基本とし、失禁のある場合には糞便を念頭においた接触予防策を行う。

Cryptosporidium parvumのオーシストに対しては、熱水洗浄、煮沸消毒や高圧蒸気滅菌などを基本とする。 オーシストの大きさは4〜6μmで一般的な家庭用フィルターでは除去することはできない。濾過による除去を行う際には1μm以下のフィルターを用いる153)

過酢酸、グルタラール、フタラール、次亜塩素酸ナトリウム、ヨード、アルコール、フェノール系消毒薬、第四級アンモニウム塩はオーシストに対して無効であり、6〜7.5%過酸化水素は効果(1,000分の1未満への減少)があると報告されている。ただし、オーシストは乾燥表面において速やかに感染性を失うため、 内視鏡など乾燥状態で保管される器具は通常の方法で洗浄、消毒しても良いと考えられる256,  257)


[3]ジアルジア症(五類、全数把握)

◆病原体
ランブル鞭毛虫(Giardia lamblia)−鞭毛虫類
◆病院感染対策
標準予防策、失禁のある場合などには接触予防策を追加
◆消毒法
熱水洗浄など

慢性下痢、鼓腸、腹満、上腹部痛等の症状を呈する。ランブル鞭毛虫は、広く世界に分布し、特に熱帯・亜熱帯の非衛生な地域に多くみられる。日本にも土着しており、欧米では水道水汚染による集団感染も発生している。ランブル鞭毛虫はそのシスト(嚢子)を経口摂取することによりヒトに伝播する。人体内で栄養型となり、小腸、胆管、胆嚢で増殖し、さらにシストを形成して糞便中に排出される。シストは外界での抵抗力があり長時間生存するため、糞便による飲料水汚染や野菜汚染などにより集団感染する。感染症例には標準予防策を基本とし、失禁のある場合には糞便を念頭においた接触予防策を行う。通常の水道水塩素消毒に抵抗を示す。シストの大きさは短径5〜8μm、長径8〜12μmであるため、通常の飲料水濾過処理で完全に除去することは困難である。


[4]マラリア(四類)

◆病原体
熱帯熱マラリア原虫(Plasmodium falciparum)、3日熱マラリア原虫(Plasmodium vivax)、4日熱マラリア原虫(Plasmodium malariae)、卵形マラリア原虫(Plasmodium ovale)−胞子虫類
◆病院感染対策
標準予防策
◆消毒法
熱水洗浄など

マラリアはヒトを宿主とし蚊をベクターとする感染症で、東南アジア、南アジア、中近東、アフリカ、中南米で発生している。マラリア原虫はシナハマダラカなど蚊の腸において有性生殖してオーシストを形成し、そこから放出されたスポロゾイドが蚊の唾液を介してヒトに伝播し寄生する。ヒトの肝細胞内で無性生殖により生じたメロゾイトが赤血球内に侵入し、さらに増殖する。3日熱マラリア原虫と卵形マラリア原虫は肝細胞で数ヶ月の休止期を経るため、血中の原虫を死滅させてもマラリアが再発する。症状として発熱、悪寒、戦慄、脾腫、貧血などを伴うが、熱帯熱マラリアは進行が早く脳障害や腎障害を起こして死因ともなるため悪性マラリアと呼ばれる。その他は比較的症状が軽いため良性マラリアと呼ばれる。マラリアは蚊を介した伝播のほか、血液媒介感染としてヒトからヒトへ伝播することがあり、輸血や多数回使用された輸液によるマラリア感染が報告されている258, 259)。感染症例には標準予防策を行う。
 

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