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抗微生物スペクトル早見表適用部位早見表消毒薬使用濃度一覧

>>> IV章参考文献


IV 対象微生物による消毒薬の選択
8.感染症法の類別における微生物

(2006.12.13追記)
*2006年12月8日、改正感染症法が公布されました。詳しくはこちらを参照ください。


5)四類・五類感染症

(6)細菌

[1]メチシリン耐性黄色ブドウ球菌感染症(五類、定点把握)

◆病原体
メチシリン耐性黄色ブドウ球菌−グラム陽性球菌
◆病院感染対策
標準予防策、場合により接触予防策を追加
◆消毒法
一般細菌を対象とする方法

IV-2-1)-(1) ブドウ球菌を参照


[2]バンコマイシン耐性黄色ブドウ球菌感染症(五類、全数把握)

◆病原体
バンコマイシン耐性黄色ブドウ球菌−グラム陽性球菌
◆病院感染対策
標準予防策および接触予防策
◆消毒法
一般細菌を対象とする方法

IV-2-1)-(1) ブドウ球菌を参照


[3]ペニシリン耐性肺炎球菌感染症(五類、定点把握)

◆病原体
ペニシリン耐性肺炎球菌−グラム陽性球菌
◆病院感染対策
標準予防策、場合により飛沫予防策、接触予防策を追加
◆消毒法
一般細菌を対象とする方法

IV-2-1)-(2) その他のグラム陽性菌を参照


[4]劇症型溶血性レンサ球菌感染症(五類、全数把握)、A群溶血性レンサ球菌咽頭炎(五類、定点把握)

◆病原体
化膿レンサ球菌(Streptococcus pyogenes)−グラム陽性球菌
◆病院感染対策
標準予防策、場合により飛沫予防策を追加
◆消毒法
一般細菌を対象とする方法

化膿レンサ球菌は、A群レンサ球菌(Group A streptococci)とも呼ばれる。創傷感染、咽頭炎、扁桃炎、猩紅熱、リウマチ熱、急性糸球体腎炎を起因する病原菌であるが、時に劇症となり死因となることもある。咽頭炎は冬季の小児に多い。劇症の場合、発熱、倦怠感、筋肉痛を起こした後、急速に軟部組織の壊死性筋膜炎、ショック症状、多臓器不全へと進展する。多くの場合、上気道感染や創傷感染に続発するが、感染経路が不明の場合もある。標準予防策を基本とし、気道感染、猩紅熱の場合や小児の場合には飛沫予防策を追加する。医療従事者である無症候性保菌者が病院内で集団感染を起因した場合も報告されている246)


[5]バンコマイシン耐性腸球菌感染症(五類、全数把握)

◆病原体
バンコマイシン耐性腸球菌−グラム陽性球菌
◆病院感染対策
標準予防策および接触予防策
◆消毒法
一般細菌を対象とする方法

IV-2-1)-(2) その他のグラム陽性菌を参照


[6]薬剤耐性緑膿菌感染症(五類、定点把握)

◆病原体
多剤耐性緑膿菌−ブドウ糖非発酵グラム陰性桿菌
◆病院感染対策
標準予防策、場合により接触予防策を追加
◆消毒法
親水性のグラム陰性菌を対象とする方法

IV-2-2)-(1) ブドウ糖非発酵グラム陰性桿菌を参照


[7]レジオネラ症(四類)

◆病原体
Legionella pneumophilaなどLegionella spp.−グラム陰性菌
◆病院感染対策
標準予防策
◆消毒法
親水性のグラム陰性菌を対象とする方法

IV-2-2)-(1) ブドウ糖非発酵グラム陰性桿菌を参照


[8]百日咳(五類、定点把握)

◆病原体
Bordetella pertussis−グラム陰性桿菌
◆病院感染対策
標準予防策および飛沫予防策、場合により接触予防策を追加
◆消毒法
一般細菌を対象とする方法

生後3ヵ月で母体からの抗体を失うので、ワクチン接種前の乳幼児を中心に発生する。感染性が強く、飛沫によりヒトからヒトへ伝播し、気管支などで炎症をもたらす。頻回の発作性咳嗽や吸気性喘鳴を伴い、乳幼児においては体力を著しく消耗させる場合があり、また肺炎を合併することもある。病院における集団感染も ある247)。感染症例に対しては飛沫予防策を行い、必要に応じて接触予防策を追加する。


[9]ブルセラ症(四類)

◆病原体
Brucella melitensisBrucella abortusBrucella suisBrucella canisなど−グラム陰性桿菌
◆病院感染対策
標準予防策
◆消毒法
一般細菌を対象とする方法

日本ではまれで、ほとんどが実験室での感染である。主に感染したブタ、ウシ、ヤギ、ヒツジ、イヌなどの組織への接触や汚染された乳製品の経口摂取によりヒトへ伝播し、場合により微熱、悪寒、背痛、関節痛、脱力感、肺病変、心内膜炎など様々な症状をもたらす。ヒトからヒトへの感染はまれであるが、胎盤、母乳 経由の母子感染、性行為による感染も報告されている。感染症例には標準予防策を行う。


[10]野兎病(四類)

◆病原体
Francisella tularensis−グラム陰性桿菌
◆病院感染対策
標準予防策
◆消毒法
一般細菌を対象とする方法

Francisella tularensisはネズミなどを自然宿主とし、ベクターとなる節足動物も存在する。悪寒、発熱などの一般症状のほかに、局所壊死、肺炎症状、チフス様症状、敗血症症状などを呈することもある。バイオテロリズムに悪用される恐れが指摘されている248)。ヒトからヒトへの感染は報告されておらず、感染症例には標準予防策を行う。


[11]淋菌感染症(五類、定点把握)

◆病原体
淋菌(Neisseria gonorrhoeae)−グラム陰性球菌
◆病院感染対策
標準予防策
◆消毒法
一般細菌を対象とする方法

泌尿器・生殖器の化膿性感染症で、尿道炎、菌血症、関節炎などをもたらす。淋菌は尿道、頸管、結膜、咽頭、直腸に感染するが、主な感染経路は性行為である。咽頭では無症状で保菌される。淋菌は乾燥や温度変化に弱いため、環境や衣類、食器などを特に消毒する必要はない。感染症例には標準予防策を行う。


[12]髄膜炎菌性髄膜炎(五類、全数把握)

◆病原体
髄膜炎菌(Neisseria meningitidis)−グラム陰性球菌
◆病院感染対策
標準予防策および飛沫予防策
◆消毒法
一般細菌を対象とする方法

主に小児において発熱、髄膜炎症状と点状出血斑をもたらし、ショックを起こすことがある。咽頭分泌物により伝播し、病院感染としての肺炎や髄膜炎を起因することもある249)。感染症例には飛沫予防策を行う。


[13]細菌性髄膜炎(五類、定点把握)

◆病原体
肺炎球菌、インフルエンザ菌、黄色ブドウ球菌、表皮ブドウ球菌、腸球菌、B群レンサ球菌、緑膿菌などブドウ糖非発酵グラム陰性桿菌、大腸菌・セラチアなど腸内細菌科細菌、Listeria monocytogenes、その他髄膜炎菌以外の細菌
◆病院感染対策
標準予防策、細菌の種類により感染経路別予防策を追加
◆消毒法
細菌の種類により選択

新生児、幼児に多い。無菌性髄膜炎と異なり、全身症状は不良で重篤となりやすい。下記の細菌以外については、それぞれ関連する前節を参照。

インフルエンザ菌(Haemophilus influenzae)はパスツレラ科のグラム陰性桿菌でヒトの上気道における常在菌である。気管支炎、肺炎、中耳炎など耳鼻咽喉科領域感染、菌血症、髄膜炎を起因することがあり、特にB型インフルエンザ菌は侵襲性が高い。β-ラクタマーゼを産生しないアンピシリン耐性(beta-lactamase-negative ampicillin-resistant: BLNAR)の拡散が問題となっている。病院における集団発生も多い250)。感染症例には標準予防策を基本とするが、B型インフルエンザ菌の場合や小児の場合は飛沫予防策を追加する。

B群レンサ球菌(Streptococcus agalactiae、Group B streptococci)はグラム陽性球菌で、多くの健常人が胃腸管、生殖器に無症候性に保菌する。産婦より新生児に伝播し、時に敗血症や髄膜炎を起こす。感染症例には標準予防策を基本とする。

Listeria monocytogenesはグラム陽性桿菌で、ウシなどの動物、土壌、水系、汚染食品から検出される。動物からヒトへ伝播する場合のほか、汚染食品による食中毒がある。リステリア症は髄膜炎、敗血症をもたらし、周産期リステリア症は胎盤を経由した感染伝播で死産の原因または新生児の死因となる。食中毒の場合は感染性胃腸炎となる。


[14]感染性胃腸炎(五類、定点把握)

◆病原体
サルモネラ、Yersinia enterocolitica、腸炎ビブリオ、ナグビブリオ、Campylobacter jejuniCampylobacter coliListeria monocytogenes、黄色ブドウ球菌、ディフィシル菌、その他腸チフス菌、パラチフス菌A、赤痢菌、コレラ菌以外の細菌
ウイルスなどによる感染性胃腸炎も五類、定点把握である。
◆病院感染対策
標準予防策、失禁がある場合などは接触予防策を追加
◆消毒法
細菌の種類により選択

食中毒であることが多い。感染症例には標準予防策を行うが、糞便−経口感染の可能性もあるので、小児や失禁がある場合には接触予防策を追加する。

サルモネラ(Salmonella spp.)は腸内細菌科のグラム陰性桿菌で、Salmonella EnteritidisSalmonella entrica serovar Typhimuriumなどが食中毒として感染性胃腸炎を起こす。これらの一部について多剤耐性が報告されている。イヌ、ウシ、ブタ、ニワトリ、シチメンチョウ、アヒルなどが保菌し、汚染された肉、乳製品、卵を摂取することにより経口感染する。感染の成立には比較的多い菌量が必要であるが、感染防御能低下患者や胃酸分泌抑制患者では比較的少量でも感染を引き起こす。

Yersinia enterocoliticaは腸内細菌科のグラム陰性桿菌で、その一部の血清型は食中毒としての胃腸炎や敗血症などを起こす。

腸炎ビブリオ(Vibrio parahaemolyticus)はビブリオ科のグラム陰性桿菌で、広く海水中に存在し、主に魚介類による食中毒として感染性胃腸炎をもたらす。

コレラ菌(Vibrio cholerae O1)以外のVibrio choleraeをnon-agglutinable vibrio(ナグビブリオ: NAG)と呼ぶ。これらは食中毒として感染性の下痢をもたらす。

Campylobacter jejuniCampylobacter coliはカンピロバクター属のグラム陰性菌で螺旋菌である。ニワトリ、ウシ、ブタなどの常在菌である。食中毒として感染性の下痢をもたらす。抗菌薬耐性の拡散が報告されている。

この他に、Listeria monocytogenesによる胃腸炎、黄色ブドウ球菌による大腸炎、ディフィシル菌による偽膜性大腸炎などがある。
 

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