V 各種消毒薬の特性
2.中水準消毒薬
 |
3)次亜塩素酸系
(2)その他の次亜塩素酸系消毒薬
[1] ジクロルイソシアヌール酸ナトリウム 39〜40)
ジクロルイソシアヌール酸ナトリウムは次亜塩素酸ナトリウムとほぼ同等の殺菌作用、抗微生物スペクトルを持つ次亜塩素酸系消毒薬である。固形の製剤(粉、顆粒、または錠剤)であり、冷所保存の必要な次亜塩素酸ナトリウムと異なり通常の室内で保存できる。有機物により容易に失活するが、次亜塩素酸ナトリウムと比較すると有機物の存在下においても不活化されにくいことが報告されている41〜43)。これはジクロルイソシアヌール酸ナトリウムが水溶液中で全有効塩素量の50%しか遊離せず、遊離有効塩素を消費すると結合有効塩素を放出し平衡を保つためといわれている44)。欧米では医療機関においても食器、リネン、環境などの消毒に使用されているが、日本では一般用医薬品としてのみ承認されており、プール水の消毒、プールの足腰洗水槽用水の消毒に承認されているものと、哺乳びん・乳首の消毒に承認されているものがある。顆粒製剤を血液や体液で汚染された床に直接散布する場合があるが、これはもっぱら血液や体液を包み込んで凝固し汚染の拡散を防ぐという効果を期待するものであり、このような使用法においては殺菌力が失活しやすいことに留意が必要である45)。
[2] 強酸性電解水 46〜49)
薄い食塩水、あるいは水道水を電気分解して得られる水を電解水といい、電解水のうち陽極側から得られる水を電解酸性水という。電解酸性水のうちpH2.3〜2.7のものを強酸性電解水、pH5〜6のものを弱酸性電解水というが、ここでは主に強酸性電解水について述べる。0.1%以下のNaCl水溶液を隔膜を介して電気分解し生成する強酸性電解水(pH2.3〜2.7)は、酸化還元電位が1.1〜1.15V、有効塩素濃度が7〜50ppmであるが、これらの値は製造機器、生成条件によって変動する。生成の原理は(1)〜(4)の式のとおりであり、陽極では塩素ガス、次亜塩素酸、水素イオンが生じる。またヒドロキシラジカル、過酸化水素もわずかに生じるといわれている。

強酸性電解水はグラム陽性菌、グラム陰性菌、真菌、ウイルス、芽胞に有効であるが、大量の芽胞を殺滅することはできない。殺菌効果は0.1%次亜塩素酸ナトリウムとほぼ同等であるという報告がある48、49)。電解酸性水の作用機序についてさまざまな検討がなされたが、もっぱら次亜塩素酸が有効成分であることが判明している。強酸性電解水の残留塩素濃度は7〜50ppmと低く、0.1%の有機物の存在で不活性化され、経時的に濃度が低下するなど安定性に乏しい。したがって洗浄を主な目的として生成直後のものを流しながら使用することが望ましい。また、電解水生成時に発生する塩素ガスの毒性や金属腐食性にも留意が必要である。厚生労働省により医療用具として認可された電解酸性水製造機器の適用は、流水式による2分間の手指の洗浄消毒と内視鏡洗浄消毒のみである。
|
|