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抗微生物スペクトル早見表適用部位早見表消毒薬使用濃度一覧

>>> V章参考文献


V 各種消毒薬の特性
2.中水準消毒薬


4)フェノール系

(2)フェノール 1〜5, 7, 8, 50)

[1] 特徴

1865年Listerが初めて無菌的手術を成功させたときに使用した消毒薬であり、石炭酸ともいう。欧米では数多くのフェノール誘導体が病院で消毒薬として使用されているが、日本ではフェノールそのものとクレゾールのみが使用されている。フェノールは結核菌に有効であるため中水準消毒薬に分類されるが、同じ中水準消毒薬であるクレゾールのほうが低毒性でかつ低濃度で微生物を殺滅することができるため、あまり繁用されていない。一般細菌を対象とする病院環境消毒薬として逆性石けんなどと比較した場合、有機物による不活性化が少ないという長所があるが、特異な臭気があること、高濃度液の付着により化学熱傷を生じることなどの短所がある。人体適用も認められているが、麻疹の鎮痒など皮膚科的な適用以外には、生体消毒薬としてフェノールを選択することが適切な場合はほとんどない。水質汚濁防止法、下水道法によりフェノール類として5ppmの排水規制が定められている。以上のことから病院での使用が適切なのは排泄物の消毒などの場合に限定されるが、古くから効力の確認されている消毒薬であるため消毒薬評価上の指標として重要な意味を持つ。


[2] 抗微生物スペクトル

グラム陽性菌、グラム陰性菌、結核菌、真菌、一部のウイルスに有効であるが、一部のウイルスと芽胞には無効である。糸状菌に対しては長時間の接触が必要な場合がある。5%フェノール液はエンベロープのないウイルスであるコクサッキーB1型、エコーウイルス6型、ポリオウイルス1型、アデノウイルス2型を、1〜2%フェノール液はエンベロープの有る単純ヘルペスウイルス、ワクシニアウイルス、インフルエンザウイルスを、10分間で殺滅するとの報告がある52)


[3] 作用機序

フェノール類は、高濃度において細胞の原形質に毒性を示す。つまり、浸透して細胞壁を破壊し、細胞質内の蛋白を沈殿させる。また、低濃度において酵素活性の不活性化、酵素の漏出を起こし作用する。


[4] 適用範囲
(承認に基づく効能・効果。推奨されるものについては下線。)

製剤としてフェノール(98w/w%以上)、液状フェノール(88w/w%以上)、フェノール水(1.8〜2.3%)、消毒用フェノール水(2.8〜3.3%)がある。フェノール、液状フェノールは以下のように希釈して使用。
3〜5%フェノール液排泄物
2〜5%フェノール液手術室・病室・家具・器具・物品
1.5〜2%フェノール液手指・皮膚
消毒用フェノール水(2.8〜3.3%)医療用具、手術室・病室・家具・器具・物品、排泄物
フェノール水(1.8〜2.3%)手指・皮膚、医療用具、手術室・病室・家具・器具・物品


[5] 主な副作用

発疹などの過敏症状があらわれることがあるので、このような場合には使用を中止する。新生児室の消毒にフェノールを使用したところ、新生児に高ビリルビン血症が生じたという報告があるため、新生児室への使用は避ける。また、損傷皮膚から吸収されやすいため、損傷皮膚に使用してはならない。なお、高濃度のフェノールが付着すると化学熱傷を生じるので取り扱い時には手袋、保護メガネを着用することが望ましい。


[6] その他の注意
  • 眼に入らないように注意する。入った場合には水でよく洗い流す。
  • 高濃度のフェノールが付着した場合は直ちに拭き取りエタノールまたは多量の水でよく洗い流す。
  • 刺激が強いので、粘膜には使用しない。
  • 金属器具を長時間浸漬する必要がある場合には、腐食を防止するために0.5〜1.0%の亜硝酸ナトリウムを添加する。
  • 合成ゴム製品、合成樹脂製品、光学器具、鏡器具、塗装カテーテルなどは変質するものがあるので、このような器具は長時間浸漬しない。


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