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抗微生物スペクトル早見表適用部位早見表消毒薬使用濃度一覧

>>> V章参考文献


V 各種消毒薬の特性
3.高水準消毒薬


1)アルデヒド系

(1)グルタラール 1〜5, 7, 8, 53)

[1] 特徴

医療器具専用の高水準消毒薬であり、高圧蒸気滅菌など加熱処理のできないセミクリティカル器具、特に軟性内視鏡の消毒に使用される。また、歯科領域では、印象材の消毒に使用されている。グルタラールは、そのままでは酸性であり、芽胞に対する殺滅力が劣るため、通常緩衝化剤を入れてアルカリ性にし活性化してから使用する。アルカリ性グルタラールは芽胞を含むすべての微生物に有効で化学的滅菌剤と呼ばれることもあるが、大量の芽胞を殺滅するには10時間の接触が必要なため54)、滅菌に用いることは実際的でない。金属、ゴム、プラスチックに対して腐食性がなく有機物による効力低下が小さいため、さまざまな用途において有用と思われるが、取り扱い者の薬液接触あるいは蒸気吸入による毒性の問題があり、使用時には注意が必要である。手術室など環境への適用については、毒性の問題があることから2003年7月に適用が削除された。


[2] 抗微生物スペクトル

グラム陽性菌、グラム陰性菌、真菌、結核菌、芽胞、ウイルスに有効である。HBV、HIVに対する有効性も確認されている。非定型抗酸菌の一部(Mycobacterium aviumMycobacterium intracellulareMycobacterium gordonaeMycobacterium chelonaeなど)には抵抗性を示す株があり55, 56)、長い接触時間が必要である。


[3] 作用機序

微生物中のSH基、OH基、COOH基、NH基をアルキル化し、DNA、RNA、蛋白質合成に影響を与える。


[4] 適用範囲
(承認に基づく効能・効果。推奨されるものについては下線。)

0.5%グルタラール麻酔装置類、人工透析装置類
2〜3.5%グルタラール医療器具
排泄物(承認されていないが場合により使用)
3%グルタラール内視鏡


[5]主な副作用
2005.04.06改訂

グルタラール蒸気は眼、咽頭、鼻を刺激する。また、グルタラールの付着は皮膚炎を起こす。グルタラール取り扱い者では、蒸気吸入による結膜炎、鼻炎、喘息、付着による皮膚炎の副作用が報告されている。したがって、使用時は、蒸気がなるべく拡散しないような容器を用い、換気を十分に行い、ゴム手袋、マスク、ゴーグル、防水エプロンを着用する。厚生労働省は2005年、医療機関における消毒現場の空気中グルタラール濃度を0.05ppm以下とするよう努力規定を設けた63)

医療器具をグルタラールに浸漬後、十分に洗い流さなかったため患者に被害をもたらしたケースも報告されている。気管内挿管チューブのグルタラール残留により偽膜性咽頭気管炎が、結腸ファイバースコープのグルタラール残留により血便や腹痛が生じたケースがある。したがって、浸漬後は十分にすすぐことが重要である。


[6] その他の注意
  • 人体に使用しないこと。
  • 誤飲をさける。
  • 誤って接触した場合には直ちに水で洗い流す。
  • グルタラール実用液は、使用しているうちに濃度低下が起こるので気をつけて使用すること。(通常、1%が高水準消毒をするための最小有効濃度の目安とされているが、非定型抗酸菌には1.5%が必要とする報告もある。)
  • 蛋白質を凝固するので、バイオフィルムや血液、体液などが付着していると薬液がその中に浸透せず、十分な殺菌効果を発揮しない場合がある。したがって十分な予備洗浄を行ってから、グルタラールに浸漬することが必要である。
  • 炭素鋼製器具は24時間以上浸漬しない。

(2)フタラール 57〜58)

芽胞を含むすべての微生物に有効なアルデヒド系消毒薬であり、作用機序は微生物中のSH基、OH基、COOH基、NH基をアルキル化し、DNA、RNA、蛋白質合成に影響を与えると考えられる。抗酸菌、ウイルスに対してグルタラールよりも短時間で有効であるが、芽胞数を減少させるにはグルタラールよりも長時間が必要であり55)、殺滅には32時間の接触が必要である54)。また、グルタラールに抵抗性を示すMycobacterium chelonaeに対しても有効であった(≧5log、10分以内)とする報告がある55)

2005.04.06改訂
軟性内視鏡などの医療器具消毒薬として0.55%製剤が市販されている。粘膜刺激性はグルタラールより少ないといわれているが、取り扱い時には換気をしてマスク、ゴーグル、手袋、ガウン等をする必要がある。蛋白など有機物を灰色に染色するため、誤って皮膚、粘膜が接触すると接触した部分は変色する。
フタラールで消毒した医療器具を使用した際に、ショック・アナフィラキシー様症状、水疱性角膜症、口唇・口腔・食道・胃等の着色、粘膜損傷、化学熱傷等が生じたケースがある64〜65)。したがって、浸漬後は十分にすすぐことが重要である。
経尿道的に使用する医療器具及び超音波白内障手術器具類には使用不可である。

 


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