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抗微生物スペクトル早見表適用部位早見表消毒薬使用濃度一覧

>>> V章参考文献


V 各種消毒薬の特性
4.その他の消毒薬


4)ホルマリン 2, 3〜5, 7, 8)

[1] 特徴

一部の芽胞を除くすべての微生物に有効な高水準消毒薬であるが、毒性が強く繁用に適さないので本テキストではその他の消毒薬に分類する。日本薬局方ホルマリンはホルムアルデヒドを35.0〜38.0%含有する水溶液であり、重合によるパラホルムアルデヒドの生成を防止するためメタノールが5〜13%添加されている。ホルマリンは室温において眼・呼吸器系粘膜に対する強い刺激のある蒸気を発生し、皮膚炎、喘息、肺炎などを誘発する。また動物実験においては発癌性と催奇形性が報告されている。このような取り扱い者に対する毒性を考慮すると、ホルマリンによる環境消毒やホルマリンボックスによる器具消毒を行うことは極力避けるべきである。ホルマリンの使用が必要となる場合としては、ガスによってはじめて消毒が可能となる構造の物品・環境、例えばラミナーエアーフロー式微生物安全キャビネットの密閉された部分の消毒など特殊な場合があるにすぎない。


[2] 抗微生物スペクトル

一部の芽胞を除くすべての微生物に有効である。Clostridium sporogenesに対して無効の報告がある。


[3] 作用機序

ホルムアルデヒドは蛋白質のアミノ基やメルカプト基、プリン塩基の環状窒素原子のアルキル化により微生物を不活化する5)


[4] 適用範囲
(承認に基づく効能・効果。推奨されるものについては下線。)

1〜5%ホルムアルデヒド液医療用具、手術室・家具・器具・物品(ごく限られた場合のみ使用)
ガス消毒法医療用具、手術室・家具・器具・物品(ごく限られた場合のみ使用)
原液+クレゾール等を添加歯科領域における感染根管の消毒


[5] 主な副作用

ホルマリンガスは低濃度(0.05ppm)で眼・呼吸器系粘膜を刺激し皮膚炎、喘息を引き起こすことがある。高濃度(20ppm)では短時間の接触においても、肺炎を引き起こすことがある。また、動物実験で発癌性、催奇形性が報告されている。

日本においては2002年3月に職域における屋内空気中のホルムアルデヒド低減のためのガイドラインが厚生労働省基準局により策定され、職域における屋内空気中のホルムアルデヒドの濃度を0.08ppm以下としている62)

歯科領域における感染根管の消毒において根尖孔外に溢出した場合に歯根膜に過刺激が加わり歯根膜炎を起こすことがある。


[6] その他の注意
  • 皮膚、粘膜(目、鼻、咽頭など)に刺激作用があるので、皮膚、粘膜に付着しないようにする。
  • 付着した場合には多量の水で洗い流すこと。
  • 蒸気は呼吸器等の粘膜に刺激作用があるので吸入をさける。
  • 消毒後、残留するホルムアルデヒドは適切な方法で除去すること。(例えば、水洗い、アンモニア水の散布、蒸発など)
  • 高温であるほど消毒効果が高まるので18℃以上に保つようにすること。(ガス消毒の場合は、同時に湿度も75%以上に保つこと)
  • ホルマリンにより変質を来たすもの(ある種の染色製品、革製品など)がある。
  • アンモニア、水酸化アルカリ、蛋白質および重金属、ヨウ素などの易還元性物質が共存すると本剤の作用が減弱される。
  • 寒冷時に混濁することがある。


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