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1998.08.14 |
全世界における抗結核薬耐性 抗菌薬耐性は、抗菌薬が治療に使用されるかぎり常に発生する。結核菌の薬剤耐性は、遺伝的な突然変異が人為的に増幅されたことにより拡散した。薬剤の不足、不適切な処方、患者による不十分な受療などにより、感受性株のみが抑えられ、耐性株が増幅した場合を獲得耐性という。その耐性株が伝播した場合は一次(primary)耐性という。 欧米のHIV感染患者における多剤耐性結核(MDR-TB)の多発により、本件に対する世界的な関心が高まった。1994年、WHOは結核・肺疾病撲滅国際連合(IUATLD)とともに全世界的な疫学調査を開始した。用語・概念とサーベーランス方法の統一、協力試験機関の国際的ネットワーク作りと試験法の質保証、これらを国家的なレベルで実施する機関の代表者によるワーキンググループの組織化を行うことが目標となっている。今回は、その第一段階として35カ国5大陸からの5万例における調査結果を要約する。これらのサンプルは世界の人口の20%を代表している。ここでMDR-TBとはisoniazid(INH)とrifampicin(RMP)の両方に対して耐性である場合を言うが、ethambutol(EMB)とstreptmycin(SM)に対する耐性も調査された。 一次耐性であるMDR-TBの蔓延率は、中央値が1.4%(レンジが0%−14.4%)であった。同じく4剤耐性は0.2%(0%−4.6%)であった。予想通り、獲得耐性は一次耐性よりも高く、一ヶ月以上受療した患者におけるMDR-TBの蔓延率は、中央値が13%(レンジが0%−54.4%)、同じく4剤耐性は4.4%(0%−17%)であった。両方を合わせた蔓延率の高い国は、ラトビア(22%)、インド(デリーで13%)、エストニア(12%)、ドミニカ(9%)、アルゼンチン(8%)、ロシア(7%)などであった。アメリカ、イギリス、フランス、ニュージーランド、ブラジルなどは3%以下であった。 MDR-TBは全世界に蔓延している。また、優れた結核コントロールを行っている国では多剤耐性蔓延率が低いという相関がある。蔓延率の高い国においては早急な対策が必要である。 <訳註> 今のところ本調査には日本、カナダ、ドイツなどの先進国や中国・ナイジェリアなど大部分のアジア・アフリカ諸国のデータが含まれていませんが、MDR-TBが先進国大都市の社会病やエイズ関連疾病であると共に、発展途上国における結核治療の質にかかわる問題であることがわかります。 本報告はNew England Journal of Medicine, 338(23): 1641-1649にも掲載されています。また、詳細な報告はWHOから購入できます (Distribution and Sales, WHO. email: mailto:publications@who.int)。 結核に関するアメリカやイギリスでの最新調査もご覧下さい。 WER: 1998.08.14 Yoshida Pharmaceutical Co Ltd: 1998.08.17 | |