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Carlisle
医療関連感染情報季刊誌より
Vol.1 No.4 December 1996

感染管理が不適切と証明されていない条件での、外科医師による複数の患者へのB型肝炎ウイルス:Hepatitis B virus(HBV)感染

Harpaz,R.et al..
Transmission of hepatitis B virus to multiple patients from a surgeon without evidence of inadequate infection control.
New Engl. J. Med.,334(9):549-554,1996.

約1%の外科医師が、B型肝炎ウイルス(HBV)に感染しているが、外科医師から患者への感染は一般的には考えられない。

1992年7月に、47歳の女性患者が、6ヵ月前に急性B型肝炎に罹患していた胸部外科研修医が助手として立ち会った胸腺摘除術後に、急性B型肝炎を発症していた。この外科医師がこの女性患者やその他の患者に、HBVを感染させたかどうかを検証するために、1991年7月から1992年7月まで、外科医師か勤務していた2つの病院で、胸部外科患者の病歴検索、インタビュー、および血清学的検査を行った。さらに、この外科医師と感染患者のHBsAgサブタイプとDNA配列を分析した。

感染していた外科医師が手術に立ち会った144例の患者のうち、19例(13%)について、最近のHBV感染が証明された。さらに、別の病院でも調査したところ、この病院の他の外科医師の患者124例のなかではHBVに感染していた患者は1人もいなかった(relative risk、∞;95% confidenceinterval、4.7-∞)。この外科医師以外には、他のどのような感染源も見出せなかった。

外科医師と感染患者のHBsAgサブタイプ、およびDNA配列は同一のものと認められた。今回の感染に関与していた治療処置は、移植治療処置(relative risk、4.9;95% confidential interval、1.5-15.5)であり、その他の治療処置では関連は示唆されなかった。この外科医師は、HBeAg陽性であり、血中HBVDNAも高濃度(15ng/ml)であった。今回の調査では、この外科医師の感染制御の手技に不備があったとは認められなかった。

今回のアウトブレイクでは、外科医師が感染管理の勧告に従っていたにもかかわらず、外科医師-患者間のHBV感染があった。しかし、具体的にどのような出来事が感染を引き起こしたのかについては、特定できなかった。

(訳:西岡みどり)

Carlisle Vol.1 No.4 p8-10 December 1996

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