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Carlisle
医療関連感染情報季刊誌より
Vol.2 No.1 April 1997

輸血によるウイルス感染の危険性

Schereiber,G.B., Busch,M.P., Kleinman, S.H., Korelitz,J.J.:
The risk of transfusion-tranmitted viral infections.
N.Engl.J.Med., 334:1685-1690,1996.

1980年代、輸血によりAIDSに感染する可能性が報告されて以来、ウイルス感染の危険性について正確な評価法が求められてきた。そこで今回われわれは1991~1993年の3年間に1回以上供血したことがある延586,507人の供血サンプルを基に通常のスクリーニング試験で陰性であった供血サンプルのセロコンバージョンの発生率と、供血者の潜伏期間中に血液が供血された確率を併せ、補正し、輸血感染疾患の潜在的な危険率を計算で求めた。

その結果、HIV、HCV、HBs抗原のセロコンバージョンのおおよその発生率は類似し、HTLVのそれの約4倍ほど高いと考えられた。また、今回のデータではセロコンバージョンの発生率は全体で10万人・年当たり18.61件程度と推定された。今回の供血者での発生率はHBVで最も高く(9.8/100,000)、次いでHCV(4.32/100,000)、HIV(3.37/100,000)、HTLV(1.12/100,000)の順であった。この比率は一般人口での発生率よりも低いことから、供血者教育と病歴管理手法が功を奏していると考えた。またわれわれは、HIVに対する受血者の潜在的危険率は約1/493,000と評価した。この低い危険率は、今回の供血者での低い発生率と血液バンクで用いているHIV抗体スクリーニング試験の感受性の改善が大いに貢献していると考えた。輸血に伴うハイリスクにHBVとHCVがある。これはHVIへの曝露以上に危険である。

以上、新しいスクリーニング法の開発は、輸血による感染の潜在的危険性を実質的に減少する。また、供血者における潜伏期間短縮検査に努めることによってHIV感染の危険性は更に減少する。そのためにはp24抗原試験やDNA-PCR法が有効と考える。供血者の潜伏期中の感染を検出するための完璧な試験法を確立することは出来ない。また、新しい直接的なウイルス検出法は、現在のスクリーニングに置き換わるというより、むしろそれらを補足するに過ぎないということを認識すべきと考える。

(訳:仲川義人)

Carlisle Vol.2 No.1 p8-10 April 1997

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