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Carlisle
医療関連感染情報季刊誌より
Vol.2 No.1 April 1997

メチシリン耐性および感受性株の鼻腔保菌中における院内感染性S.aureus菌血症

Pujol,M.,Pena,C.,Palares,R.,Ariza,J.,Ayats,J.,Dominguez,M.A.,Gudiol,F.
Nosocomial staphylococcus aureus Bacteremia among Nasal Carriers of Methicillin-resistant and methicillin-susceptible Strains.
Am.J.Med.,100:509-516,1996.

MRSA感染症の発症時における院内感染性S.aureus菌血症の危険因子として、鼻腔内にMRSAがMSSAのいずれかの保菌と関連性があるかを調べた。

1991年3月から1992年4月までの1年間に、48時間以上ICUに入室した488名の患者を対象として、S.aureusの保菌状況を鼻腔拭き取り培養で調べたところ、147名(30.1%)が鼻腔にS.aureusを保菌していた。そのうち63名(12.9%)にMRSAが、84名(17.2%)はMSSAを保菌していた。MRSA保菌者の16名(25%)は、ICU入室前にMSSAの保菌者であった。MRSA保菌者63名中56名(88.8%)は、ICU入室中の鼻腔拭き取り培養で2回以上の陽性を示し、鼻腔中にMRSAの定住した患者と考えられた。MRSAおよびMSSA保菌者を比較した場合、MSSAに比べMRSA保菌者は、ICU入室時に高いSAPS(簡易急性生理スコア)を示し、入室期間が長く、手術、静脈内カテーテル留置、人工換気装置を使用し、抗生物質療法、気管ろう孔形成、褥瘡を持ち、保菌期間が長かった。488名中38名(7.7%)は院内感染性S.aureus菌血症と診断された。これらの患者の32名(84%)は鼻腔にS.aureusを保菌し、他の6名(16%)は非保菌者であった。鼻腔S.aureus保菌の全ての菌血症患者から検出されたS.aureusは、同じ感受性パターンを示していた。院内感染性S.aureus菌血症の発症率は、MRSA保菌者63名中24名(38%)、MSSA保菌者84名中8名(9.5%)、そして非保菌者341名中6名(1.7%)であった。鼻腔保菌から菌血症が発症するまでの平均日数は、MRSA保菌者で11.1日、MSSA保菌者で6.1日であった。S.aureus菌血症は、MSSA保菌者よりMRSA保菌者で高く、抗生物質の投与を受けた患者で低い結果を呈した。ICUへ入室している患者で、S.aureusの鼻腔保菌者は非保菌者より、S.aureus菌血症の発症する危険性が高く、MRSA保菌者はMSSA保菌者より危険性が高いことが結論づけられた。(訳:白石正)

Carlisle Vol.2 No.1 p8-10 April 1997

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