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Carlisle
医療関連感染情報季刊誌より
Vol.2 No.1 April 1997

Staphylococcus aureusの実験的バンコマイシン高度耐性突然変異株

Sieradzki, K., Tomasz, A.
A highly vancomycin-resistant laboratory mutant of Staphylococcus aureus.
FEMS.Microbiol.Lett., 142:161-166, 1996.

バンコマイシン(VCM)耐性腸球菌の出現と蔓延以来、グリコペプタイドの耐性化機構が注目されている。

われわれは、VCM含有培地を用い、実験的にVCMのMICが1.5μg/mlの S.aureus から、段階的にMIC 100μg/mlの耐性突然変異株を分離した。

そこで、液体培地に親株と変異株を培養し、VCM50μg/mlを加えたところ、親株は生育力を失ったが、変異株はよりゆっくりした速度で成長を続け、細胞分裂は停止し、凝集塊を産生した。

培地内VCM濃度は親株接種培地では変化はみられなかったが、変異株接種培地では10 時間後に約1μg/mlに減少し、24 時間後には検出限界以下となった。また、親株ではVCM添加により、ペプチドグリカン合成率が急速に著しく減少したが、変異株では合成し続けた。また、VCM添加により、変異体では細胞壁ターンオーバーの阻害が起こり、培地中の遊離VCM濃度が約1μg/mlに低下したときに再び始まり、同時に生育力も急速に増加した。

電顕においては、VCM含有培地内で生育した変異株で細胞分離の阻害がみられたが、抗生物質が入っていない培地内の変異株は通常の形態であった。

培地より消失したVCMの約50%が変異株の細胞壁から回収された。

VCM耐性の腸球菌(vanA陽性)や本質的にVCM耐性菌であるLeuconostocでは培地中の抗生物質の濃度に変化はみられていない。

本VCM耐性変異体では、vanA DNA probeやvanB DNA probeは見られず、D-Lactate末端細胞壁前駆物質も検出されなかった。

本変異株の耐性機構は不明であるが、腸球菌のVCM耐性機構とは明らかに異なっている。

このようなグリコペプタイド耐性変異株の生化学的機構や、臨床的意義はまだ確率されていない。(訳:豊口禎子)

Carlisle Vol.2 No.1 p8-10 April 1997

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