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Carlisle
医療関連感染情報季刊誌より
Vol.3 No.2 Summer 1998

多菌種バイオフィルムに対するクロルヘキシジンの効果

Michael,W.et al.
Effect of Chlorhexidine on Multi-Species Biofilms.
Current Microbiology,36:13-18,1998.

歯垢生成を抑制する方法として、抗菌剤の使用に関心が寄せられている。これまでの抗菌剤の活性に関する研究の多くは、全身性の感染症との関連性に基づいた方法で行われてきた。しかし、歯垢防止に有効な薬剤の研究には、起因菌がバイオフィルムを形成して起こる疾病に注目して行うべきである。また、口腔細菌の抗菌剤に対する感受性は、細菌の水溶性懸濁条件下よりもバイオフィルム形成下のほうが、低いことが認められている。

歯垢形成細菌の主なものは、Storeptococcus sanguisであり、歯垢防止薬として繁用されるクロルヘキシジンや塩化セチルピリジウムの感受性についての報告がある。そこで今回は、口腔と類似した状況下で、歯科用合金にWimpennyらの方法で一定のフィルム形成発酵法(CDFF)により微生物が関与したバイオフィルムを作り、それに対するグルコン酸クロルヘキシジン(CHG)の殺菌効果を調べた。

バイオフィルムに対し蔗糖の有無による歯科用合金への歯垢の生成は、storeptococciで蔗糖が有る場合43%、添加しない場合22%と、蔗糖が有るほうが高い割合であった。しかし、actinomycesは、バイオフィルムに蔗糖が有る場合(27%)に比し無い場合(32%)のほうが高い割合であった。同様に、veillonellaeでも蔗糖の有る場合(2%)に対し、無い場合(14%)のほうが高い割合であった。これは、CDFFから流出のpH低下(蔗糖(+):pH4.7-5.5、蔗糖(-):pH7.0-7.4)によるものと考えられ、細菌構成の相違は、蔗糖代謝と酸性菌種によってstoreptococciが増加しているものと考える。

蔗糖の有無によるバイオフィルムの全嫌気性菌数は、滅菌水と60分の接触で変化を示さないが、CHGと60秒の接触での嫌気性菌の減少割合は、蔗糖有りで89%、無しで53%、この減少した主な細菌は、storeptococciとactinomycesであった。また、CHGと60分の接触後に残存した細菌は、蔗糖有り2%、無し4%であった。蔗糖有りに対するCHGの殺菌率は、蔗糖無しの2倍であった。

この研究から歯垢に関与する細菌の多くは、0.2%CHGと1分間の接触では残存し、60分の接触でさえも残存することが認められた。

(訳:白石 正)

Carlisle Vol.3 No.2 p8-10 Summer 1998

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