Y's Square:病院感染、院内感染対策学術情報 > 感染対策学術情報 > 医療関連感染情報季刊誌より(Carlisle) > Review > 感染起因菌 > その他の微生物 > 媒介物中におけるヒト腸内ウイルスの殺菌消毒
Carlisle
医療関連感染情報季刊誌より
Vol.3 No.2 Summer 1998

媒介物中におけるヒト腸内ウイルスの殺菌消毒

Xavier Abad F.et al.
Disinfection of human enteric viruses on fomites.
FEMS Microbiology Letters,156:107-111,1997.

A型肝炎や急性胃腸炎の発症は、病院、介護施設、学校等での公衆衛生上、重大な問題である。これらの疾患の病因物質は感染した患者の大便に排泄され、長時間生存する。腸内ウイルスに起因する感染の中には、糞便で汚染された環境物質の表面を媒体とする感染が多い。そこで、各種消毒剤のロタウイルス(HRV)やA型肝炎ウイルス(HAV)、ポリオウイルス(PV)に対する殺菌効果を、キャリア試験と懸濁試験にて検討した。またキャリア試験ではBacteroides fragilisバクテリオファージ(BFB)をウイルス消毒の指標として用いた。

HAV、HRV、BFBで汚染させたポリスチレン(アルミ、磁器、ゴムに比し非透過性に富む)の消毒効果をキャリア試験で検討した結果、HAVやHRVで3log titre以上に低下したのは30%の亜塩素酸ナトリウムだけで、70%エタノール液、0.05%クロルヘキシジン液、フェノール誘導体(1.4%)、0.0192%ジエチレントリアミン液での抗ウイルス活性はあまり高いものではなかった。同じ消毒剤での懸濁試験の結果では、ジエチレントリアミン液と次亜塩素酸ナトリウム(0.125%)液が抗ウイルス効果が著明であった。

これらの試験結果を比較すると、汚染表面からのウイルスの殺菌は同一ウイルス種、同一消毒剤を用いた懸濁試験の結果とは明確に異なっていた。10分間の接触時間でも、懸濁試験でのウイルスの不活性化率は増加せず、媒介物でのウイルスの殺菌効果判定は信頼性が低かった。BFBは無生物の表面上のウイルス殺菌試験モデルとして、PVよりも安価、簡便、そして信頼性は高いと考えられる。

本研究では媒介物での殺菌効果を糞便中に浮遊したウイルスでも検討した。懸濁試験ではこれら消毒剤による抗ウイルス活性は比較的良好に認められたが、キャリア試験の殺菌効果は有意ではないが、かなり減弱した。(訳:仲川義人)

Carlisle Vol.3 No.2 p8-10 Summer 1998

関連サイト