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Carlisle
医療関連感染情報季刊誌より
Vol.3 No.3 Autumn 1998

HIVと精子におけるノノキシノール-9とクロルヘキシジンのin vitroでの効果

Harrison,C.& Chantler,E.
The effect of nonoxynol-9 and chlorhexidine on HIV and sperm in vitro.
Int.J.STD & AIDS,9:92-97,1998.

クロルヘキシジン(CHG)は、各種細菌に対する殺菌作用やHIVに対する抗ウイルス作用があり、in vitroでは殺精子作用を有し、作用は弱いが腟剤としても有効である。一方、ノノキシノール-9(NNX-9)は、界面活性作用を有する殺精子剤として使用され、HIVに対しても効果がある。そこで、CHGとNNX-9を個々に、またそれらを併用したときのリンパ球(MT2細胞)の生存性、HIVの転写と感染性およびひと精子の残存性についてin vitroで研究した。

MT2細胞におけるNNX-9とCHGの生存効果は、時間と濃度に依存し、50μg/mL単独接触例では、接触1時間までは生存性に有意な影響を示さなかった。しかし、200μg/mLのNNX-9は、MT2細胞を1分間の接触で完全に不活化し、200μg/mLのCHGは、40-60%まで活性を減少させたにすぎなかった。100μg/mLのNNX-9とCHGの併用では、1分間の接触でMT2細胞を完全に不活化したが、同濃度での単独使用では、20%を不活化するにすぎなかった。さらに、60μg/mLのNNX-9とCHGの60μg/mLと、低用量の併用では100%の不活化効果を示した。

ところで、HIVの転写割合への影響は、330μg/mLのNNX-9または430μg/mLのCHGで50%減少したが、1㎎/mL CHGの高濃度でも転写の完全な抑制は見られなかった。200μg/mLのNNX-9を加えたウイルスの転写割合は、CHGを加えない場合の29%であったが、100μg/mLのCHGの併用により転写割合は73%と、2.5倍となった。200~400μg/mLのCHGと100μg/mLのNNX-9の併用によるウイルス転写割合は、併用しない場合の2倍となるなど、明らかな併用効果は認められなかった。

一方、これら2つの薬剤の殺精子効果は異なっていた。0.134㎎/mLのNNX-9と1.032㎎/mL CHGを精子と30~300秒間接触させ、その運動性精子の割合をみると、NNX-9は30秒で抑制を示すものの300秒まではほぼ同程度の値を示し、CHGは30秒で29%、200秒では完全抑制を示した。5㎎/mLのCHGと精子の接触では、運動性精子の生存を示さず、それ以下ではNNX-9との併用により増強作用を示し、0.5㎎/mLのCHGと0.2mg/mLのNNX-9の併用でのみ相乗的であった。

以上より、NNX-9のCHGの併用は、MT細胞の不活化増強効果などによりHIVの感染防止に有益であると考えられた。
(訳:白石 正)

Carlisle Vol.3 No.3 p8-10 Autumn 1998

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