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Carlisle
医療関連感染情報季刊誌より
Vol.3 No.3 Autumn 1998

感染リスクのない小児におけるメチシリン耐性黄色ブドウ球菌による市中感染

Herold,B.C.et al.
Community Acquired Methicillin-Resistant Staphylococcus aureus in Children With No Identified Predisposing Risk.
Risk.JAMA,279(8):593-598.1998.

小児のメチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)による市中感染は、もともと感染リスクの認められる症例において発生してきた。しかし最近は、感染リスク因子のないMRSA市中感染例が頻繁に報告されるようになってきた。

そこで本研究は、感染リスクのない小児におけるMRSAによる市中感染が増加しているのかどうか、またMRSA分離株に関連した疾患の範囲を特定することを目的とした。

シカゴ大学小児病院において1988年8月から1990年7月、および1993年8月から1995年7月の間に、黄色ブドウ球菌が分離された入院中の小児患者を対象に、診療記録による後ろ向き調査(retrospective review)を行った。MRSAによる市中感染の発生率について、感染例と保菌例および疾患のリスク因子を経時的に調査した。

MRSAによる市中感染に罹患した小児の入院患者数は1988年から1990年間の8例から、1993年から1995年間には35例と増加が見られた。さらに、感染リスクのない小児におけるMRSAによる市中感染率は、1988年から1990年間では10万の入院件数に対して10例であったのが、1993年から1995年には同じく10万の入院に対して259例と増加していた(p<0.001)。さらに、感染リスクのない小児におけるMRSA感染の臨床症状は、メチシリン感受性黄色ブドウ球菌(MSSA)の症状と良く似ていた。感染リスクのある市中感染に罹患した小児からのMRSA分離株10株のうち7株(70%)は、少なくとも2薬剤に耐性であったのに対して、感染リスクのない小児からのMRSA分離株では25株のうち6株(24%)のみであった(p<0.02)。

本研究の結果より、感染リスクのない小児におけるMRSAによる市中感染が増加傾向にあることが示唆された。

(訳:西岡みどり)

Carlisle Vol.3 No.3 p8-10 Autumn 1998

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