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Carlisle
医療関連感染情報季刊誌より
Vol.3 No.4 Winter 1999

ムピロシン耐性の出現:感染制御への喚起と抗菌剤使用規定の実践

Cookson, B. D.
The emergence of mupirocin resistance:a challenge to infection control and antibiotic prescribing practice.
J. Antimicrob. Chemoth., 41:11-18, 1998.

ムピロシンはATP結合部位付近のイソロイシルt-RNA合成酵素(IleS)へ結合し、イソロイシンとATPの両者の活性を阻害する。いわゆるイソロイシンアデニレート類似の抗生物質である。最近、ムピロシン耐性菌の出現が各国から報告されている。1990年の調査では、皮膚科医院と他の4施設で、7,137株のS. aureusのうち0.3%が耐性を示し、高度耐性菌は1/6にすぎなかった。また、バーミンガム地方の病院では1991年の6カ月に分離した429株中1株が耐性を示した。同時期に近隣の皮膚科病院では、288株中8.3%の耐性を認めている。米国では鼻腔から分離したS. aureus1,309株中1%が耐性を示した。1991~1992年にオークランドの委員会が皮膚や傷から収集したS. aureus4,544株中3.7%が、高度ムピロシン耐性であった。その他、ニュージーランドなど6カ国で耐性株の発現が報告されている。

この耐性は、低度(MIC:8-256mg/L)と高度(>256mg/L)の2つに分類され、低度耐性のブレークポイントは4mg/Lとされている。この耐性は、IleSの変化の程度により生じ、酵素活性を半減する抗生物質の濃度はMICと相関する。すなわち、感受性株:3.3×10-2mg/L、低度耐性株(MuL):1.3×10-1mg/L、高度耐性株(MuH):7.5mg/Lを示している。MuH株は変化したプラスミド上に耐性遺伝子(mupA)を運び、変化の過程で活発に移行される。mupAとともに他の耐性も同時に移行するので、薬剤によって選択され、トリクロサン、テトラサイクリン、トリメトプリム、カドミウムが関連する。MuHとトリクロサン耐性MRSAの転移試験で、高度耐性はペニシリナーゼプラスミドと共に転移される。また、ムピロシン耐性は、S. aureusだけでなくS. epidermidisからも分離され、CNSとS. aureus間のmupAの移行があると考えられる。

これらムビロシン耐性S. aureusの除菌には、バシトラシン、茶木油、ゲンチアナ紫などが有効とされている。ムピロシン耐性を防止するには、耐性菌のスクリーニング、抗菌剤の使用期間の規制、感染制御の監視が必要で、ムピロシンに限らず他の薬剤についても、長期間の使用や広範囲の使用を避けるとした指針が必要である。(訳:白石 正)

Carlisle Vol.3 No.4 p8-10 Winter 1999

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