Y's Square:病院感染、院内感染対策学術情報 > 感染対策学術情報 > 医療関連感染情報季刊誌より(Carlisle) > Review > 感染起因菌 > その他の細菌 > Acinetobacter baumanniiによる病院感染:微生物・臨床疫学
Carlisle
医療関連感染情報季刊誌より
Vol.3 No.4 Winter 1999

Acinetobacter baumanniiによる病院感染:微生物・臨床疫学

Villers, D. et al.
Nosocomial Acinetobacter baumannii Infections
Microbiological and Clinical Epidemiology. Ann. Intern. Med., 129:182-189, 1998.

Acinetobacter baumanniiは急速に多剤耐性化する重要な日和見感染病原体であり、重篤な状態に陥り易い病院感染症に関係している。Acinetobacter baumanniiは常在菌であり、引き起こす感染症の疫学が複雑なため予防が難しい。

本研究では、Acinetobacter baumannii感染の疫学を調査し、fluoroquinoloneの使用と多剤耐性クローン特性との関連を検討することを目的とした。

方法は、抗生物質耐性のパターンと分子型タイピングを用いて分離菌を分類し、20床の内科・外科ICUにおける年間のAcinetobacter baumannii感染の発生率とfluoro-quinoloneの使用を算出した。

Acinetobacter baumanniiは、45症例の尿(31%)、下気道(26.7%)、創(17.8%)、血液(11.1%)、皮膚(6.7%)、脳脊髄液(4.4%)およびsinus(2.2%)から分離された。1死亡症例はAcinetobacter baumannii感染症によるものであった。

当初、28例がAcinetobacter baumannii感染を発症していた。11の分離株が同じ抗生物質感受性プロファイルか、あるいは同じ遺伝子型プロファイルであるか、またはどちらとも同じであり(epidemic cases)、残りの17株は異なった遺伝子型であった(endemic cases)。

緊急手術室での外科処置実施がepidemic casesの主な危険因子であり、一方fluoroquinolone投与の既往がendemic casesにおける唯一の危険因子であった。

新しい手術室の開設とfluoro-quinolone使用の制限により、一次的に感染率を低減することができた。三度目の疫学調査を実施した際には、fluoroquinolone投与の既往が独立して関与する危険因子であり、fluoroquinoloneの経静脈的に処方された量とendemic感染の発生率は対応していた。

以上の結果より、epidemic感染には経静脈的fluoroquinolone投与のselection pressureによって促進されたendemic感染が同時に発生していることが示唆された。(訳:西岡みどり)

Carlisle Vol.3 No.4 p8-10 Winter 1999

関連サイト