Y's Square:病院感染、院内感染対策学術情報 > 感染対策学術情報 > 医療関連感染情報季刊誌より(Carlisle) > Review > 感染起因菌 > MRSA > バンコマイシン中等度耐性Staphylococcus aureus:大きな脅威か小さな不便か?
Carlisle
医療関連感染情報季刊誌より
Vol.4 No.1 Spring 1999

バンコマイシン中等度耐性Staphylococcus aureus:大きな脅威か小さな不便か?

Johnson, A. P.
Intermediate vancomycin resistance in Staphylococcus aureus:a major threat or a minor inconvenience?
J. Antimicrob. Chemother., 42:289-291, 1998.

最近まで、多剤耐性Staphylococcus aureusの治療にはバンコマイシン(VCM)が有用であったが、VCMに対し中等度耐性のmethicilline-resistant S.aureus(MRSA)が日本、アメリカ、フランスで報告された。この菌に対するVCM耐性の程度は低いレベル(MIC:8mg/L)にあるが、治療の失敗に関連している。これらの菌に感染した患者は、他の薬剤で治療を受け、反応している。日本では、胸骨膿瘍の子供に外科的ドレナージを行った後、アンピシリン/スルバクタムとアルベカシンで治療を行い、フランスではライン感染の白血病の子供にquinupristin/dalfopristinで治療を行った(コ・トリモキサゾールにも感受性)。アメリカの腹膜炎患者の分離菌はメチシリン、VCMに耐性であったが、リファンピシン、クロラムフェニコール、コ・トリモキサゾール、テトラサイクリンに感受性があった。

VCMの中等度耐性S.aureus(VISA)の適切な治療は、耐性の迅速な認識に依存する。残念なことに、VISAの検出は通常の検査システムでは容易ではない。したがって、VCM耐性を調べる方法を緊急に確立すべきである。市販されている感受性試験法の評価に関する報告では、中等度耐性株の大部分はMicroScan conventional panelsで認識される。Sensititre panelsはより変動が大きい。日本のMRSAはheterogeneousなVCM耐性を示している(MIC 2~4mg/Lおよび5~9mg/L)。通常のVCM投与量では、血清中濃度のピークは25~50mg/Lであるが、膿瘍中の濃度は5mg/L程度にしかならないので、耐性菌の選択を助長するかもしれない。

S. aureusに対するグリコペプタイドの耐性は新しい現象ではなく、テイコプラニンでも中等度耐性菌が報告されている。また、VCMと同様にディスク拡散法では、中等度耐性菌は検出困難である。このように、VISAの臨床的、診断的問題は大きな衝撃ではない。さらに、VCMの不必要な使用を制限することが、VCM耐性腸球菌(VRE)の蔓延を防ぐための一戦略であるように、VISAに関しても同様のことが推奨される。

(訳:豊口禎子)

Carlisle Vol.4 No.1 p8-10 Spring 1999

関連サイト