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Carlisle
医療関連感染情報季刊誌より
Vol.4 No.3 Autumn 1999

医療従事者におけるインフルエンザワクチンの効果:無作為割付試験

James, A. M. et al.
Effectiveness of influenza vaccine in health care professional
a randomized trial.

JAMA, 281: 908-913, 1999.

医療従事者におけるインフルエンザワクチンの効果に関するデータは限られており、これまで各種の矛盾する結果が報告されている。そこで、本研究では、若年の健康な医療従事者における、インフルエンザ感染予防や欠勤期間短縮に関するインフルエンザワクチンの効果を明らかにすることを目的とした。

ボルチモアにある2つの大規模教育病院で、1992-1993年から1994-1995年に渡る、3年間の冬期に調査を行った。デザインは無作為割付、二重盲検試験で、慢性疾患を抱えた者を除いた264名の病院勤務医療従事者を対象に、ケース・コントロール試験を実施した。

対象はインフルエンザワクチン群またはコントロール群(髄膜炎菌ワクチン/肺炎球菌ワクチン/プラセボ)に無作為に割り付けられた。血清抗体検査を、ワクチン接種時、接種一ヵ月後、およびインフルエンザ流行期の終わりに実施した。インフルエンザ流行期には毎週、サーベイランスを実施した。主なアウトカムには、インフルエンザ感染、発熱性呼吸器疾患の罹患日数、欠勤日数を用いた。

対象医療従事者264名のうち、49名は2シーズン、24名は3シーズンに重複して対象に含まれた。対象の平均年齢は28.4歳で、75%は研修医師で、57%が女性であった。 調査期間中にA型またはB型インフルエンザ感染が血清学的に認められたのは、ワクチン接種群が180名のうち3名(1.7%)であったのに対して、コントロール群は179名のうち24名(13.4%)であった。ワクチンの血清学的な効果はA型インフルエンザでは88%(95%CI: 47-97%; p=0.001)、B型インフルエンザでは89%(95%CI: 14-99%; p=0.03)であった。発熱性呼吸器疾患罹患日数はワクチン接種群が100名あたり28.7日であったのに対して、コントロール群は100名あたり40.6日であった(p=0.57)。欠勤日数については、ワクチン接種群が100名あたり9.9日であったのに対して、コントロール群は100名あたり21.1日であった(p=0.41)。 インフルエンザワクチンは、医療従事者のA型およびB型インフルエンザ感染の予防に効果があり、報告された欠勤期間および発熱性呼吸器疾患罹患期間を短縮する可能性がある。本研究のデータは医療従事者に毎年インフルエンザワクチン投与することを支持するものである。

(訳:西岡みどり)

Carlisle Vol.4 No.3 p8-10 Autumn 1999

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