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Carlisle
医療関連感染情報季刊誌より
Vol.4 No.3 Autumn 1999

バンコマイシン耐性の脅威

Trish, M. et al.
The threat of vancomycin resistance.
Am. J. Med., 106(5A): 26S-37S, 1999.

1958年に開発されたバンコマイシン(vancomycin)は、現代においては不可欠な抗菌薬であり、重篤な患者や、ペニシリンやセファロスポリン、その他の抗菌薬に耐性を示す微生物による感染の治療に用いられている。バンコマイシン耐性菌については非常に多くの医療従事者によって認識されるようになってきた。最初は1986年にUKで、また1988年に米国で報告されたバンコマイシン耐性腸球菌(vancomycin-resistant enterococci:VRE)は、しだいに病院感染の主要な病原微生物になってきた。この間、バンコマイシン耐性コアグラーゼ陰性黄色ブドウ球菌による感染の臨床例が散発的に報告されてきた。最近は、培地にバンコマイシンの含有を必要とするバンコマイシン依存性腸球菌(vancomycin-dependent enterococci:VDE)が臨床的に特異な感染を引き起こすとして報告されている。バンコマイシンやその他のグリコぺプタイド(glycopeptide)に中等度耐性の黄色ブドウ球菌(vancomycin or other glycopeptide intermediately resistant Staphylococcus aureus:VISA/GISA)もまた、新興してきている。

VREにおけるバンコマイシン耐性のメカニズム、そしておそらくはVISA/GISAのそれらは、これらの細菌が獲得した、バンコマイシンの細胞壁形成疎外能を阻止する機能に関連している。VREの保菌や感染にいたるリスク因子には、抗菌薬治療の履歴、長期の入院経験、集中治療室入院経験、内科的外科的疾患の合併、VREに汚染された器具への曝露、VRE患者との接触が含まれる。VRE保菌または感染患者、手が汚染している医療従事者、医療施設における汚染された環境は、重要なVREのリザーバー(reservoirs)である。VREとVISA/GISAは、両方ともバンコマイシンやその他のグリコぺプタイドを投与された患者から新興してきたものであるが、リスク因子に関してはあまり判っていない。感染管理と抗菌薬管理、すなわちバンコマイシン使用の制限、抗菌薬の適性使用ガイドライン、病院職員の教育、バンコマイシン耐性の早期発見と報告、保菌患者の隔離、適正な環境清掃が、病因におけるこれらの病原微生物の伝播を予防するために行われている。

(訳:西岡みどり)

Carlisle Vol.4 No.3 p8-10 Autumn 1999

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