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Carlisle
医療関連感染情報季刊誌より
Vol.4 No.4 Winter 2000

黄色ブドウ球菌菌血症の院内感染危険因子

Jensen, A. G. et al.
Risk factors for hospital-acquired staphylococcus aureus bacte-remia.
Arch. Intern. Med., 159:1437―1443, 1999.

黄色ブドウ球菌は、菌血症の最も一般的な原因菌として知られており、有効な抗生剤が多くあるにもかかわらず、病院での黄色ブドウ球菌菌血症(SAB)は高い罹患率と死亡率を示し、いまだに問題となっている。

本研究は院内感染によるSAB発症の危険因子を解明するために企画された。調査期間は、1994年5月1日から1995年4月30日までの1年間に、デンマーク、コペンハーゲン郡の4つの病院の入院患者を対象とした。

調査期間中に167例のSABが発生した。このうち85例(50.9%)が病院での発症例で、入院患者1,000名中0.71名の発生率になる。この症例に対し、同様な原発性疾患を有しSABを呈さない85症例を選択して適合対照群とし、他に同一時期にSABを呈さないで入院した患者(無作為)118例を非適合対照群として比較した。適合対照群85例で最も多かった疾患は、癌、次いで腎疾患、動脈硬化疾患であった。また、全入院期間は症例群(平均24日)が適合対照群(平均13日)より長かった。

SABの有意な関連要因として、中心静脈カテーテル(オッズ比:6.9、95%信頼区間(CI):2.8―17.0)、貧血(オッズ比:3.3、95%CI:1.4―7.6)、低ナトリウム血症(オッズ比:3.3、95%CI:1.5―7.0)、輸血があげられる。手術、ステロイド投与、免疫不全、鼻腔保菌、性別、年齢、抗生剤の使用、末梢静脈カテーテルについては、SABの危険因子としての関連は低かった。癌や重篤な血液疾患を伴う患者の死亡率や総患者数が、非適合対照群と比較してSAB発症患者で高かった。鼻腔保菌は必ずしもSABの危険因子とはならなかったが、適合対照群と非適合対照群いずれでも手術、静脈カテーテル留置との関連で鼻腔保菌は有意な危険因子であった。中心静脈カテーテルの施行はSAB発生の重要な危険因子となり、また、高齢者、癌、そしてSAB発生などが死亡率を高める要因となることが認められ、低ナトリウム血症と貧血もSABの発現に関連していることが示唆された。

(訳:白石 正)

Carlisle Vol.4 No.4 p8-10 Winter 2000

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