Y's Square:病院感染、院内感染対策学術情報 > 感染対策学術情報 > 医療関連感染情報季刊誌より(Carlisle) > Review > 消毒薬 > 選択と使用法 生体消毒薬 > 静脈穿刺部消毒に対するポビドンヨードとヨードチンキを比較した無作為調査:血液培養汚染率の影響
Carlisle
医療関連感染情報季刊誌より
Vol.5 No.1・2 Spring/Summer 2000

静脈穿刺部消毒に対するポビドンヨードとヨードチンキを比較した無作為調査:血液培養汚染率の影響

Little JR. et al.
A Randomized Trial of Povidone-iodine Compared with Iodine Tincture for Venipuncture Site Disinfection : Effects on Rates of Blood Culture Contamination.
Am. J. Med., 107:119-125,1999.

血中における微生物の存在は,感染症の原因となるため、血液培養は重要な検査となる。ところで、血液培養で陽性の35~50%は汚染による疑陽性といわれ、疑陽性培養は不要な抗生剤の使用、追加検査、病院経費の増加や入院延長などの問題を含んでいる。そこで、静脈穿刺部を10%ポビドンヨード(PVP- I)または2%ヨードチンキ(I-Tinc)のいずれかで消毒後、血液培養汚染についての無作為調査を行った。対象は、Barnes-Jewish病院, ワシントン大学医学部第三次医療センター、ミズリー州セントルイスのBJC健康管理関連病院の成人入院患者1,503名で、1995年12月1日~1996年7月31日の8ヵ月間に3,851件の血液検体が集められた。
培養セットの一方または両方のボトル中から細菌や真菌の増殖が認められた血液培養は血液培養陽性と判定し、真陽性または疑陽性をスコア化し、電子ファイルに入院中の患者ごとに培養結果が作られた。3,851件の血液培養中、PVP-I群は1,947件、I-Tinc群は1,904件で、血液培養陽性は 376件(全体の9.8%)、このうち120件(全培養の3.1%、陽性培養の32%)は皮膚細菌叢からの汚染であった。このうちでI-Tinc消毒後は 2.4%、PVP-I消毒後は3.8%で有意差が認められた(オッズ比[OR]=1.6;[CI]1.1-2.4,P=0.01)。
血液培養汚染の87%はコアグラーゼ陰性ブドウ球菌であった。真陽性血液培養ではPVP-I消毒122件(48%)、I-Tinc消毒134件(52%)で、それらの間に関連性は認められなかった。一方、総病院経費に有意差が認められた(8,400ドル:95% CI、1,500~1,5000ドル、<P=0.001)。細菌検査支出の相違は220ドルのみであったが、統計上有意差が認められている(95%CI、140~300ドル、 p=0.001)。汚染血液培養と無菌血液培養で患者にかかる平均病院経費の相違は4,400ドルであった。これらのことから、I-Tincは血液培養採取前の静脈穿刺部の消毒に対しPVP-Iより優れており、さらに汚染血液培養は高額な費用を要するためPVP-IからI-Tincに換えていく必要がある。また、汚染率の減少は,患者看護の向上と病院経費の減少を改善できるものと考える。

(訳:白石 正)

Carlisle Vol.5 No.1・2 p8-10 Spring/Summer 2000

関連サイト