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Carlisle
医療関連感染情報季刊誌より
Vol.6 No.1 Spring 2001

乳児における敗血症の原因となったKlebsiella oxytocaに汚染された消毒液

Reiss, I., Borkhardt, A., Fussel, R., et al.
Disinfectant contaminated with Klebsiella oxytoca as a source of sepsis in babies.
The Lancet, 356, July22:310,2000.

ドイツのJustus-Liebig大学病院(ギーセン)の新生児・小児集中治療室(12床)で、1996年10月~1999年3月までに28人の乳児にKlebsiella oxytocaによる院内敗血症が発生し、その原因を究明した。 

27患児のうち16人の患児は胎児齢が37週未満の早産児(生後平均:8日、2~34日)、2患児は胎便吸引症候群(6日)と先天性奇形の満期産児(7日)、8人の患児(平均:4ヵ月、2週間~7ヵ月)と13歳の子供1人は先天性心疾患を患っていた。22人の患児(82%)は初期に血小板減少症とCRP の上昇といった敗血症の特異的症状を呈していた。その内の11人はさらにカテコラミン依存性の低血圧と呼吸不全を伴う敗血症性ショックの徴候があった。1人の早産児(胎児齢27週)は敗血症性ショックの発生6時間後に死亡した。DICに続いて2人の早産児は重篤な脳内出血を呈し、1人は合併症により死亡、もう1人は重篤な障害を残し生存した。その他の患児はいずれも生存した。

消化管からの病原体による血流移行性感染症を除くため、糞の検体を、そして医療スタッフによる伝播の可能性を考え口咽頭、肛門の塗沫標本も調べた。さらに空調、水の装置、水貯蔵庫、洗面台も調べたが、K. oxytocaは検出されなかった。結局、K. oxytocaは表面、層状空調システム、注入ポンプの消毒に用いられる0.25%の消毒液(8.0g/dL formaldehyde、8.0g/dL glyoxal、4.5g/dL glutaral)から20cfu/100mLの濃度で分離された。消毒液は毎日調製されプラスチックバケツに貯蔵された。消毒液から分離された菌は血液培養から分離された菌と酵素、抗生物質感受性、プラスミド分析、16S rRNA遺伝子のシークエンシングで相同性が認められた。

細菌学的評価によるとK. oxytocaは室温の0.25%液中で20時間の増殖時間でゆっくり生育したが、黄色ブドウ球菌や緑膿菌は2時間以内で殺菌された。抵抗性はカプセル形成、肉眼的にはムコイド集落形成として認められた。1996年10月の3ヵ月前にスタッフから非特異的過敏の訴えがあり、0.5%液を0.25%に希釈し、使用していたことが判明した。濃度を0.5%に上げ、オートクレーブ可能な金属バケツに交換後、Klebsiella敗血症は発生しなくなった。

(訳:仲川義人)

Carlisle Vol.6 No.1 p8-10 Spring 2001

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