Y's Square:病院感染、院内感染対策学術情報 > 感染対策学術情報 > 医療関連感染情報季刊誌より(Carlisle) > Review > 感染起因菌 > バンコマイシン 耐性菌 > バンコマイシン耐性腸球菌による細菌尿の疫学調査―レトロスペクティブ研究
Carlisle
医療関連感染情報季刊誌より
Vol.6 No.1 Spring 2001

バンコマイシン耐性腸球菌による細菌尿の疫学調査―レトロスペクティブ研究

Wong, A. H. M., Wenzel R. P., Edmond M. B.
Epidemiology of bacteriuria caused by vancomycin-resistant enterococcia retrospective study.
Am. J. Infect. Control, 28:277-281, 2000.

バンコマイシン耐性腸球菌(VRE)は1980年代に最初に着目されて以来、米国において院内感染として顕著に増加している。最近のデータ(SCOPE)では、血流感染で分離される腸球菌のうち18%がバンコマイシンに耐性であったとの報告がある。VRE菌血症についてはしばしば疫学的調査がなされているが、病院内で発症する感染症の34~46%を占めている尿路感染症については報告されていない。そこで、今回、VREの細菌尿に関する疫学的調査を行った。

ヴァージニア医科大学病院において、1996年1月~1997年6月に尿からVREが検出された患者107人(患者10,000人に対し23人)中98人で調査を行った。13人は症候性尿路感染症で、21人は無症候性細菌尿であり、37人は膿尿のないVRE保菌尿を呈し、27人は尿検査不備のため判定できなかった。98人中94人からEnterococcus faeciumが検出され、Enterococcus faecalisが検出されたのは4人であった。 

症候性VRE尿路感染症患者13人と非症候性患者58人において患者の各種病的状態を比較したところ、基礎疾患として悪性腫瘍を有している患者が、症候性尿路感染症患者では38.5%であったのに対し、非症候性患者では8.6%と有意差が認められた。その他、年齢、性別、尿路カテーテル留置率、入院日数、その他の基礎疾患などにおいて有意差はみられなかった。症候性尿路感染症患者13人のうち2人が続発性のVRE菌血症となり、非症候性患者58人では1人がその後菌血症となったが、有意差はなかった。両群の致死率に有意差はなく、死因は直接的に菌血症に起因するものではなかった。

(訳:豊口禎子)

Carlisle Vol.6 No.1 p8-10 Spring 2001

関連サイト