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Carlisle
医療関連感染情報季刊誌より
Vol.6 No.2 Summer 2001

黄色ブドウ球菌による菌血症の原因となる鼻腔保菌

Eiff, C., et al.
Nasal carriage as a source of Staphylococcus aureus bacteremia.
N. Engl. Med., 344:11-16, 2001.

黄色ブドウ球菌(S. aureus)は罹患率および死亡率が高く、病院で流行する一般的な感染症の原因菌で、S. aureusの保菌、特に鼻腔保菌に起因する感染伝播が多い。米国のNNIS機構によると、1979~1995年でS. aureusは13%以上も院内感染患者から分離され、市中感染菌としても一般化を呈しているという。そこで今回、S. aureus菌血症患者の血液分離株と鼻腔分離株の関連性について2回にわたって調査を行った。

まず、1993年11月~1994年9月まで、ドイツ国内の32の大学および一般病院を対象に、S. aureus菌血症患者の鼻前庭より拭き取り調査を試み、鼻腔にS. aureusの保菌が確認された株はパルスフィールド電気泳動ゲル(PFGE)法により評価した。第二の研究は、1994年6月~1999年6月までに鼻前庭由来のS. aureusをミュンスター大学病院(1,568床)だけで収集し、その後、入院中に発症した菌血症患者のS. aureusとその前に分離された鼻腔のS. aureusをPFGEで評価した。

初めの多施設研究では、219名の患者から723株が分離された(血液:219株、鼻前庭:350株、その他:154株)。219名中20名(9.1%)は9個の異なったタイプのMRSAを保菌していた。S. aureus菌血症患者の血液から分離された株のほとんどは、同じ患者の鼻前庭から分離された株と同じパターンであった(82.2%)。

次の研究では、5年間に1,278名の鼻腔から1,640株が分離され、そのうち74名(5.8%)から、34株の異なったタイプのメチシリン耐性株が鼻前庭から分離された。鼻腔保菌者のうち14名(1名はMRSA保菌者)は、その後S. aureus菌血症を発症した。その鼻腔保菌者14名中12名の血液から分離された株は、鼻前庭から分離された株と同一クローンを示し(85.7%)、他の2名は異なっていた。菌血症発症は1週間以内が6名、1ヵ月以内3名、他の3名は3ヵ月以上後の発症であった。

これらの2回の調査から、少なくともS. aureus菌血症の50%の患者は、初めに同一株を鼻前庭に保菌していたと考えられる。S. aureus菌血症の場合は、鼻前庭に保菌または感染病巣からの分離株と血液由来の分離株との間に深い関連性があり、内因性感染であることが示唆された。

(訳:白石 正)

Carlisle Vol.6 No.2 p7-9 Summer 2001

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