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Carlisle
医療関連感染情報季刊誌より
Vol.6 No.3 Autumn 2001

物質表面に付着した緑膿菌の消毒剤に対するバイオフィルム形成前の抵抗性

Sagripanti, J. L. and Bonifacino A.
Resistance of pseudomonas aeruginosa to liquid disinfectants on contaminated surfaces before formation of biofilms.
J. AOAC. International, 83:1415-1422, 2000.

米国では年間、入院患者3,500万人のうち約5-10%が病院感染に罹患している。そこで、本研究は、病院感染の起因菌である緑膿菌を用い、無生物表面へ付着させた場合と懸濁液中での各種消毒剤による殺菌効果を比較した。また、細菌が被験物と短時間に接触したことによる消毒剤に対する抵抗性やバイオフィルム(BF)形成との関連についても検討した。

院内調製と市販の消毒剤合計14種類、緑膿菌は標準菌、被験物はステンレスねじとシリコンチューブを用いた。実験1は懸濁菌液(3×108CFU/mL)と各消毒剤を30分間接触した後の殺菌効果を調べた。全ての消毒剤で5logよりも高い殺菌効果を示し、レナリン、8%ホルマリン、0.03%過酢酸は検出限界値近くまで減菌した。実験2は菌液を付着させた被験物に対する消毒効果を調べた。被験物に付着した緑膿菌は14Cメチオニンでラベルした菌数から算出した。被験物は菌液3×1011CFU/ mLに30分間浸漬し、10分間乾燥させた後に400μLの消毒剤に20℃、30分間接触させ、被験物を除いた溶液を稀釈、遠心してその沈渣に1mLの TBSを加え、フラクション(F)aとする。また、超音波により遊離した菌Fb、培地中で30分間被験物の振とう後に遊離した菌をFcとし、被験物へ付着した緑膿菌の消失を放射活性より求めた。

Faでの残存菌は、ホルマリンとレナリンで処理したねじ、サイデックスプラスとレゾール、レナリンで処理したチューブでは検出されなかったが、FbとFc からは検出された。キャビサイド、サイデックスプラス、レゾール、レナリン、ホルマリン、グルタラール、過酸化水素(チューブ)、過酢酸(ねじ)はFaだけの評価では10倍以上の過大評価となった。被験物間で消毒剤の効果は大きく異なった。一方、被験物でのBF形成は、細菌をその表面に接触後4時間で始まり、BFの基となる微少コロニー形成は少なくとも24時間を要する。すなわち、消毒剤に対する表面菌の抵抗性の増大は、BF形成より早い過程ですでに生じている。この知見は被験物表面へ付着した細菌に対する消毒剤の効果が、通常知られているより弱いことを示唆している。

(訳:白石 正)

Carlisle Vol.6 No.3 p8-10 Autumn 2001

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