Y's Square:病院感染、院内感染対策学術情報 > 感染対策学術情報 > 医療関連感染情報季刊誌より(Carlisle) > Review > その他の 関連文献 > サーベーランス > ある地域の健康療養施設におけるバンコマイシン耐性腸球菌の制御管理
Carlisle
医療関連感染情報季刊誌より
Vol.6 No.3 Autumn 2001

ある地域の健康療養施設におけるバンコマイシン耐性腸球菌の制御管理

Ostrowsky, B. E., Trick, W. E., Sohn, A. H., et al.
Control of vancomycin-resistant enterococcus in health care facilities in a region.
N. Engl. J. Med., 344:1427-1433, 2001.

バンコマイシン耐性腸球菌(VRE)は、アイオワ州、ネブラスカ州、サウスダコタ州にまたがるスーランド地方で1996年後半にはじめて検出された。 1997年にはその地域の健康療養施設の代表者が集まりプロジェクトチームが結成され、VREの保菌率の調査とCDCのガイドラインを基にその地域の全 32施設におけるスクリーニング、感染対策および教育を実践した。

1998年10月にVREの腸管内保菌のリスクファクターを評価するために、VREを保菌していない対照患者と患者の臨床的および基本的背景や入院歴、抗菌剤の治療歴などを比較するケースコントロールスタディを実施した。保菌率の調査では、肛門周囲を綿棒で集めた標本検体が、1998年では2,196人の対象患者のうち1,954検体(89%)採取され、1999年では2,049人中1,820検体(89%)採取された。3年間の全研究に参加した30施設におけるVREの保菌率は1997年の2.2%から1998年の1.4%に、1999年では0.5%に有意に減少した(χ2検定)。VREを保菌する患者が少なくとも1人存在した施設数は、1997年の15施設から1998年では10施設に、1999年では5施設に減少した。ケースコントロールスタディの結果、急性期療養型施設と長期療養型施設の両方において、VRE保菌のリスクファクターは、先行する入院歴と抗菌薬の治療歴であった。

さらに、1998年と1999年には、質問書の回答およびVREの保菌患者のスクリーニングと隔離の実施率を比較し、急性期療養型施設と長期療養型施設における感染対策への介入の評価を実施した。急性期療養型施設においては、1998年および1999年には全4施設でVREのスクリーニングが実施され、伝播防止の感染対策が制定されていた。長期療養型施設においては、VREのスクリーニング実施率は1997年は32%(28施設中9施設)であったのに対して、1998年では93%(28施設中26施設)、1999年では92%(25施設中23施設)であった。保菌者の個室隔離や集団隔離などのVREの伝播防止感染対策が制定されている施設は、1998年では91%(23施設中21施設)であり、1999年では88%(25施設中22施設)であった。

監視培養や感染患者の隔離などのVREの伝播防止のための感染対策方法における積極的な介入は、地域の保健療養施設におけるVREの伝播を減少または排除させることが可能である。

(訳:野口浩恵)

Carlisle Vol.6 No.3 p8-10 Autumn 2001

関連サイト