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Carlisle
医療関連感染情報季刊誌より
Vol.6 No.3 Autumn 2001

抗結核薬に対する耐性の世界的傾向

Espinal, M. A., Laszlo, A., Simonsen, L., et al.
Global trends in resistance to antituberculosis drugs.
N. Engl. J. Med., 344:1294-1303, 2001.

現在、抗結核薬に対する耐性の世界的傾向をみたデータはない。

そこで今回、世界保健機構(WHO)と国際結核肺疾患予防連合(the International Union against Tube-rculosis and Lung Disease, IUA-TLD)により6大陸の国々においてすでに実施されている抗結核薬に対する耐性の傾向を拡大調査した。データは、すでに実施されているサーベイランスと、現在得られる全ての結核患者の調査から、標準的なプロトコールを用いて入手した。標準的な標本抽出法で、治療を受けていない新規の患者と、治療経験のある患者を区別して抽出し、検査値は品質保証された国際プログラムを用いて検証した。

1996年から1999年まで58地域の患者(調査患者総数61,415名)を調査し、28地域では少なくとも2年間のデータを得た。抗結核薬は isoni-azid、rifampicin、streptomycin、そしてethambutolの4種類について調査を行った。

治療を受けていない新規患者において、少なくとも一つの抗結核薬に対する耐性結核の罹患率は、ウルグアイの1.7%からエストニアの36.9%であった(中央値10.7%)。また、新規患者での多剤耐性結核の罹患率はウルグアイ、フィンランド、フランスなど8地域で0%であったが、エストニアでは 14.1%と高く、中国の河南省では10.8%、ラトビアで9%、ロシアのイワノボでは9%、ロシアのトムスクで6.5%、イランで5.5%、中国の浙江省で4.5%であった。治療経験のある患者でみると、少なくとも1つの薬剤に対する耐性結核の罹患率は、フィンランドの0%からウルグアイの93.8%であった(中央値23.3%)。治療経験のある患者での多剤耐性結核の罹患率は、フィンランド、マレーシアなど4地域で0%からイランの48.2%であった(中央値9.3%)。

3年間以上のデータが得られた地域において、治療を受けていない新規患者での耐性結核の罹患率は、エストニアでは1994年で28.2%が、1998年には36.9%(p=0.01)であり、一方、デンマークでは1995年で9.9%が、1998年には13.1%(p=0.04)に増加した。また、抗結核薬の治療経験のある患者でみても、エストニアでの多剤耐性結核の罹患率は、1994年では19.2%が、1998年には37.8%(p=0.04)に増加していた。一方、フランスや米国では多剤耐性結核は有意に減少していた。

多剤耐性結核は非常に深刻な問題で、特にエストニア、ラトビアなどいくつかの国々で深刻である。今回の調査では、人口密度の高い中国とイランが多剤耐性結核の頻度の高い地域として認識できた。

(訳:山本仁美)

Carlisle Vol.6 No.3 p8-10 Autumn 2001

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