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Carlisle
医療関連感染情報季刊誌より
Vol.7 No.2 Summer 2002

病院独自の臨床および経済的効果に及ぼす抗菌剤管理プログラムの影響

Gross, R., Morgan, A. S., Kinky, D. E., et al.
Impact of a hospital-based antimicrobial management program on clinical and economic outcomes.
Clin. Infect. Dis.(CID), 33:289-295, 2001.

抗菌剤の不適切な使用は、副作用の誘発、感染の助長、重篤な感染リスクの増大、耐性菌発現、そして治療費の増加につながる。そこで、1993年ペンシルバニア大学病院(772床)で、抗菌剤の適正使用に向け、感染症科の医師(ID)により支援された臨床薬剤師からなる抗菌剤監視チーム(AMT)を編成し、抗菌剤管理プログラムが作成された。

調査目的は、患者に良質で効果的な治療をほどこすため、広域抗菌スペクトルをもつ抗菌剤、高価な抗菌剤、バンコマイシンのような耐性菌発現の危険性を有する抗菌剤の使用制限を行うとともに、医師の認識改革にあった。推奨抗菌剤、臨床効果、経済効果に関し、AMTによる成果をID関与の場合と比較した。

265名の登録の中から基準に適合した210名中180名が対象となった。これら患者に対する申請是非の受理はAMT(52%)よりID(73%)のほうが多かった(p=0.03)。効果判定は抗菌剤の適正使用、同等な治療効果の場合の低コスト剤の使用、経済効果は治療開始から患者の退院までの入院費用を計算した(対象:163名)。

抗菌剤による治療効果は、IDよりAMTのほうが高かった。抗菌剤申請の拒否率はID(9%)よりもAMT(29%)が有意に多く、また医師の使用申請をそれぞれ変更した割合は、AMT(84%)とID(82%)でほぼ類似していた。推奨した抗菌剤の不適切な選択理由として、薬剤コスト、広すぎる殺菌スペクトル剤の選択などであった。経済性は総病院コストと感染関連コストで評価し、IDよりAMTの関与によるコストのほうが低いことが証明されたが、統計的に有意差はなかった。

以上より、抗菌剤管理は、IDによる使用規制より、薬剤師が参画したAMTによるシステムがより適切な治療をもたらすことが判明した。無作為試験などによる評価やコストと治療効果のより綿密な分析が必要であるが、無分別に抗菌剤を使用している病院の場合、本システムは検討に値することが示唆された。

(訳:白石 正)

Carlisle Vol.7 No.2 p8-10 Summer 2002

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