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Carlisle
医療関連感染情報季刊誌より
Vol.7 No.2 Summer 2002

バンコマイシン耐性腸球菌はなぜ出現したのか、そしてどこから来たのか?

Bonten, M. J. M., Willems, R., Weinstein, R. A.
Vancomycin-resistant entero-cocci:why are they here, and where do they come from?
Lancet Infect. Dis., 1:314-325, 2001.

バンコマイシン(VCM)耐性腸球菌(VRE)は最近10年間に院内感染原因菌として出現した。米国ではVRE保菌は地域的に多くの病院で認められ、感染は増加しているが、健常者での保菌はない。VREは医療従事者の手指や汚染された器具といった直接的接触により伝播する。特に、周囲の保菌患者数が最も VRE伝播に影響する。また、VCMやセファロスポリン等の使用により、VREが増加するとの報告がある。VRE感染予防のためのCDCガイドライン作成や、段階的感染対策が提案されている。

一方、欧州ではVRE感染は通常は重篤とはならず、散発的に発症しているが、健常者や農場の動物では地域特有性の保菌がみられる。米国ではVCMはより高頻度に使用されているが、アンピシリン耐性腸球菌がVREより先に出現し、抗生物質の選択作用を受けやすくしている。欧州では、VCMに類似したグリコペプチド系のアボパルチンが広く農産業で使用されたことが、家畜の保菌に繋がっている。アボパルチンは米国では使用されておらず、健常人での保菌はみられない。欧州の保菌動物からVREと耐性遺伝子が健常人や入院患者に伝播した。しかし、両大陸での腸球菌のある遺伝子群が、恐らく特別な毒性因子である変異 esp遺伝子を有していることから、病院感染をより発症しやすくしている。

欧州の家畜とヒト保菌者間の直接的連鎖の証拠はあるが、米国の耐性遺伝子の起源は確立されていない。抗生物質耐性菌や耐性遺伝子の普及を考慮すると、VRE出現は病院間、人と動物間、国間、大陸間といった境界が存在しないことを強調している。

(訳:豊口禎子)

Carlisle Vol.7 No.2 p8-10 Summer 2002

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