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Carlisle
医療関連感染情報季刊誌より
Vol.7 No.2 Summer 2002

外科ICU患者におけるカンジダ血流感染のリスクファクター:NEMIS(The National Epidemiology of Mycosis Survey)の前向き研究

Henry M., Blumberg, William R., Jarvis, J. Michael, Soucie, et al.
Risk factors for candidal bloodstream infections in surgical intensive care unit Patients.
The NEMIS prospective multicenter study. CID, 33:177-186, 2001.

過去20年間でカンジダは、ICU患者における血流感染の原因として4番目に多い菌種である。カンジダ血流感染(CBSIs)を増加させるリスクファクターとして、抗生物質、化学療法、あるいはステロイドの処方;中心静脈カテーテルの挿入;非経口栄養;手術;ICUへの入院;悪性腫瘍;好中球の減少;あるいは過去の真菌症履歴、等が示唆されているが、これまでの調査は後ろ向き研究で、ある一機関で取得されたものであるため、データが限られていた。そこで、CBSIsを増加させるリスクファクターを明らかにするため、全米の6箇所の地域(アトランタ、アイオワ、ロサンゼルス、ニューヨーク、ポートランド、サンアントニオ)で2年を超える期間に渡り、外科ICUで48時間以上治療を受けた患者を対象に、前向きコホート研究が行われた。

対象患者4,276人のうち42人(1,000入院あたり9.82件)にCBSIsが発生した。延べ入院日数(患者数× 入院日数)に対するCBSIsの発生率は0.98/1,000件であった。CBSIs患者のうち、76%は外科ICUに入室後3週間以内に発生した。 CBSIsによる死亡率は41%で、CBSIsが認められなかった患者での死亡率(8%)を大きく上回った。

多変量解析の結果、CBSIs増加の危険性があると判断された要因は、手術、急性腎不全、非経口栄養、およびトリプルルーメンカテーテルの挿入であり、それぞれに対する相対リスク(relative risk;RR)は、7.3、 4.2、3.6、および5.4だった。抗生物質の投与に関しては、一種類以上の抗生物質を投与された3,512人の患者と、投与されていない784人の患者(CBSIsは発生しなかった)の相対リスクに、顕著な差は見られなかった。一方、抗真菌薬(Amphotericin B、Nystatin、Azole)の投与は相対リスクを0.3に減少させた。

どの抗真菌薬がもっとも有効であるか、またどのようなハイリスクの患者に対して抗真菌薬による予防が有効であるか、今後の臨床研究が必要とされる。

今回の調査結果より、病院間の院内感染発生率を有効に比較できる検討項目の基準が統一されていないため、今後小児病院における最良の院内感染の調査方法を決めることが必要であると示唆された。

(訳:山本仁美)

Carlisle Vol.7 No.2 p8-10 Summer 2002

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