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Carlisle
医療関連感染情報季刊誌より
Vol.7 No.3 Autumn 2002

サンフランシスコ都市部の貧困階層におけるメチシリン耐性黄色ブドウ球菌の流行

Charlebois, E. D., Bangsberg, D. R., et al.
Population-based community prevalence of Methicillin-Resistant Staphylococcus aureus in the urban poor of San Francisco.
Clin. Infect. Dis., 34:425-433, 2002.

本研究は、都市部の貧困階層における黄色ブドウ球菌の鼻腔内保菌およびメチシリン耐性について、その広がりと危険因子を決定するとともに、採取されたメチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)について、抗生物質感受性試験を実施し、臨床分離株との耐性度の比較、さらにはパルスフィールド電気泳動を行い臨床分離株との遺伝的類似性に関する比較を目的として行った。

この貧困階層のサンプルは、サンフランシスコのホームレスおよび最低のホテルに居住する成人833例で(ホームレス500例、男性570例、白人361 例、黒人331例、HIV陽性141例など)、鼻腔内培養を行い、サンフランシスコCHN臨床ラボから得た363例のMRSA臨床分離株と比較した。

都市部貧困層の190例(22.8%)が鼻腔内に黄色ブドウ球菌を保菌しており、そのうち23例(12.0%)がメチシリン耐性であった。全体的な MRSAの検出率は2.8%であった。黄色ブドウ球菌の検出は、性差やホームレスの有無については有意差がなく、50歳以下、白人、HIV抗体陽性で多く認められた。

またMRSAに対する多変量解析においては、有意であるとされた危険因子は、薬物注射(オッズ比[OR]、9.7)、心内膜炎の既往(OR、4.1)、過去1年以内の入院(OR、2.4)であり、HIV抗体陽性は関連しなかった。また、MRSA中2例(0.24%)だけが、既知の危険因子を持っていなかった。得られたMSSAにおいてβ-ラクタム薬以外の抗菌薬に対し10%以上耐性であったのは、エリスロマイシン(35%)とトリメトプリム-スルファメトキサゾール(12%)であった。MRSAについては、臨床分離株と比較して、その耐性度は低かった。23例のMRSAについてパルスフィールド電気泳動を実施したところ、22例は臨床分離されたMRSAと遺伝的にマッチしており、23例中15例は入院患者の間で流行しているMRSA cloneと同一であることがわかった。

(訳:木津純子)

Carlisle Vol.7 No.3 p8-10 Autumn 2002

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