最新情報6:重症急性呼吸器症候群(SARS)
2003.07.07
・ 7月5日、WHOは台湾をSARS伝播地域の指定から解除しました1)。これにより、中国、香港、トロントなどを含むすべての地域において伝播地域指定が解除されました。同日、外務省は台湾に関する危険情報を解除しました2)。これにより、外務省はSARSに関連する危険情報をすべて解除しました。
・ 7月4日にWHOが報告したSARS症例累積数(可能性例)は29カ国からの8439例で、812例が死亡、7431例が既に回復と報告されています3)。6月27日以降7月4日までに、新たな可能性例は報告されていません。厚生労働省の7月4日17時の公表では、日本の疑い例52例・可能性例16例はこれまでに全例が否定されています4)。
以上により、2003年3月頃から世界的な注目を浴びたSARS流行は一旦収束したと推定することもできますが、SARS関連コロナウイルスの起源が根絶されたわけではなく、ウイルスの環境中での生存能力が高まる冬期に再発生する可能性に対して備えなければなりません。
輸入されたSARSが香港、台湾、トロントにおけるように国内で拡散を始めた場合、SARSの早期確定診断は困難であるため、渡航暦の有無のみでSARSを否定できなくなる恐れがあります。そのような事態が冬期に発生した場合には、非常に多くの呼吸器症候群症例について、緊急隔離・検疫的措置が要請されるかもしれず、医療現場においてはもちろん社会全般においても混乱を生ずる恐れがあります。特に、症状の類似しているインフルエンザについては、医療従事者のワクチン接種を推進し、緊急隔離・検疫的措置が必要となる呼吸器症候群症例を最小限にとどめるべく予防を行うことが重要と思われます5)。
SARSについてはY’s Letter No.18、インフルエンザについてはY’s Letter No.9をご覧下さい。
<参考>
http://www.who.int/csr/don/2003_07_05/en/
http://www.pubanzen.mofa.go.jp/
http://www.who.int/csr/sars/country/2003_07_04/en/
http://www.mhlw.go.jp/topics/2003/03/tp0318-1c.html
http://www.who.int/csr/don/2003_07_03/en/