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Carlisle
医療関連感染情報季刊誌より
Vol.7 No.4 Winter 2003

抗生物質耐性黄色ブドウ球菌、腸球菌、グラム陰性桿菌、Clostridium difficile、カンジダによる院内colonizationおよび感染に対する共通危険因子

Safdar,N. and Maki,D.G.,
The commonality of risk factors for nosocomial colonization and infection with antimicrobial-resistant Staphylococcus aureus, Enterococcus, gram-negative bacilli, Closridium difficile, and Candida.
Clin. Infect. Dis., 34:346-353, 2002.

近年、院内感染原因菌としての抗生物質耐性菌が大きな問題となってきている。多くの研究によって個々の原因菌による院内colonizationや感染の危険因子が明らかにされているが、それらのうち重要な危険因子には共通性があることが示唆されている。今回、多剤耐性菌による共通危険因子を明確にするために、メチシリン耐性黄色ブドウ球菌、バンコマイシン耐性腸球菌、Closridium difficile、広域スペクトルβ-ラクタマーゼ産生グラム陰性桿菌、カンジダによる院内感染の危険因子について文献調査を行った。なお、院内colonizationは院内感染の前兆であるという概念から、区別はしなかった。

74件の文献データを調査したが、このうち53件(71%)はレトロスペクティブなものであり、危険因子にはほとんど焦点を当てておらず、また定量的な検討はなされていなかった。データ解析からは、上記の多剤耐性菌における注目すべき共通危険因子は、高齢者であること、基礎疾患および疾病の重症度、患者の施設間、特にナーシングホームからの移動、入院の長期化、消化管の手術や臓器移植、あらゆるタイプの侵襲性器具、特に中心静脈カテーテルの使用、抗生物質、特にセファロスポリン系の使用であることが示された。

以上より、多剤耐性菌による院内感染に対しては、抗生物質、特にセファロスポリン系のさらなる使用制限、侵襲的な医療行為における感染予防、病院内での交差感染の予防に対する方策を立てることが有効であると考えられる。また、耐性菌による感染の危険性があるすべての患者を予防的に隔離することによって、院内での二次的な広がりを縮小できると思われる。逆に、ある一つの菌や抗生物質にのみ焦点を当てた対策は、成功しないと考えられる。

今後、可能性のあるすべての危険因子に焦点を当てた十分な規模のプロスペクティブ研究、特に耐性菌によるcolonizationを除外し、比較対照を用いた継続的なサーベイランスを実施することによって、施設内での抗生物質耐性菌の発生率への理解が高まり、より効果的な予防策開発へと導かれると思われる。

(訳:松永典子、木津純子)

Carlisle Vol.7 No.4 p8-11 Winter 2003

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