Y's Square:病院感染、院内感染対策学術情報 > 感染対策学術情報 > 医療関連感染情報季刊誌より(Carlisle) > Review > 感染起因菌 > バンコマイシン 耐性菌 > 抗生物質の使用と耐性化に関するモニタリング:バンコマイシンの使用とバンコマイシン耐性腸球菌に関する全国基準データとの比較
Carlisle
医療関連感染情報季刊誌より
Vol.8 No.1 Spring 2003

抗生物質の使用と耐性化に関するモニタリング:バンコマイシンの使用とバンコマイシン耐性腸球菌に関する全国基準データとの比較

Fridkin, S.K., Lawton, R., Edwards, J.R., et al.
Monitoring antimicrobial use and resistance: comparison with a national benchmark on reducing vancomycin use and vancomycin-resistant enterococci.
Emerg. Infect. Dis., 8;702-707, 2002.

耐性菌の発生と蔓延を防ぐためには、抗生物質の適正使用が不可欠である。適正使用を推進する方法は施設ごとに異なり、政府や専門家グループによるガイドラインが提示されているにもかかわらず、多くの病院で独自の抗生物質使用プログラムを作成している。最近、Infection Society of AmericaおよびSociety for Health Epidemiology of America Joint Committee on the Prevention of Antimicrobial Resistanceから病院における抗生物質耐性化を防止するガイドラインが発表され、耐性菌と抗生物質使用のモニタリングシステムの確立、実践ガイドラインの確立などを推奨している。さらに、各病院のモニタリングシステムから得たデータと基準データを対応させることが、患者ケアの質改善のための業務変更に有効な方法であるとしているが、妥当な基準は未だ十分には確立されていない。

モニタリングや基準設置システムの例として、CDCとEmory大学の共同研究であるプロジェクトICARE(Intensive Care Antimicrobial Resistance Epidemiology)がある。第2期(1996年1月~1997年12月)および第3期(1998年4月~1999年7月)に、21病院の55の ICUが全国院内感染サーベイランスシステムに参加した。調査を完了した20病院(95%)の50のICUから得た耐性菌および抗生物質使用に関するデータを解析し、個々の病院データと全国基準データ(全ての対象病院から集計)を比較した。

MRSAの罹患率を調整してデータを解析すると、特定の処方変更を実践したICUでは、バンコマイシン使用量の著しい減少(p<<0.001)がみられた。また、これらのICUにおいては、業務における特定の変更を実践していない所と比較して、VREの罹患率も後者が平均5.7%増加しているのに対し平均7.5%減少と著しい減少(p<0.001)がみられた。本プロジェクトでは、特定のICUに焦点を当てた業務変更により、ICUにおけるバンコマイシンの使用量減少とVRE罹患率の減少に繋がることが認められた。抗生物質耐性菌の感染を減少させるには、いかに最良の基準を定め、これらのデータに対応させるよう努力するかが重要であろう。

(訳:松永典子、木津純子)

Carlisle Vol.8 No.1 p8-11 Spring 2003

関連サイト