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Carlisle
医療関連感染情報季刊誌より
Vol.8 No.3 Autumn 2003

メチシリン耐性およびメチシリン感受性黄色ブドウ球菌による菌血症死亡率の比較:メタアナリシス

Cosgrove, S.E., Sakoulas, G., Perencevich, E.N., et al.
Comparison of mortality associated with methicilline-resistant and methicillin susceptible Staphylococcus aureus bacteremia:a meta-analysis.
Clin. Infect. Dis., 36:53-59, 2003.

従来、薬剤耐性菌による感染症は、感受性菌による感染症に比べて、罹病率や死亡率が高いと考えられてきたが、原因菌、感染部位、患者の状態などによって異なると思われる。黄色ブドウ球菌による感染症は、過去20年間増加しており、この菌による菌血症の死亡率は15~60%と報告されている。また、集中治療室における病院(院内)感染症の52.3%はメチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)によるものであり、1994年から1998年の4年間でMRSA感染症は37%増加したとの報告もある。

MRSAによる菌血症患者とメチシリン感受性黄色ブドウ球菌(MSSA)による菌血症患者の死亡率に関する調査もいくつか報告されているが、結果は必ずしも一致していない。

今回、MRSA菌血症およびMSSA菌血症における死亡率に関する論文を検索し、メタアナリシス分析を行った。検索は、MEDLINEデータベースを用い、1980年1月1日から2000年12月31日の20年間に黄色ブドウ球菌菌血症に関する英語論文を抽出した。さらに採用、除外のクライテリアを定め、2人の研究者によりMRSA菌血症患者およびMSSA菌血症患者における死亡率が明記されているもののみを採用し、小児を対象としたもの、重複報告されているものなどは除外した。

採用した31論文の総患者数は3,963人であり、そのうち1,360人(34.3%)がMRSA、2,603人(65.7%)がMSSAによる感染であった。各論文において、MRSA菌血症およびMSSA菌血症の死亡率のオッズ比(ORs)、95%信頼区間(CIs)から、24論文(77.4%)においては、MRSA菌血症とMSSA菌血症における死亡率に有意差はなかったが、7論文(22.6%)においては、MRSA菌血症の死亡率のほうが有意に高いことが認められた。なお、MRSA菌血症の死亡率が有意に低いと結論づけている論文はなかった。この31論文を用い、疾患の重症度分類による補正などを行った上で、各入院時死亡率のOR、CIを用いて、ランダム効果モデルによりメタアナリシス分析を実施した。

結果は、ORが1.93、95% CIは1.54-2.42となり、MRSA菌血症における死亡率が有意に高いことが明らかとなった(p<0.001)。均一性に関する統計学的検定においては不均一性が認められたが、サブグループ解析において不均一性はみられなかった。また、ファンネルプロット法により、出版バイアスも認められなかった。

本症例より、腎移植後のリンパ嚢腫に対するポビドンヨード治療は、ヨウ素腎毒性および急性腎不全を引き起こす可能性があることが示唆された。

(訳:巨勢典子、木津純子)

Carlisle Vol.8 No.3 p8-11 Autumn 2003

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